研究課題/領域番号 |
19K12566
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研究機関 | 名古屋学院大学 |
研究代表者 |
山本 真嗣 名古屋学院大学, 外国語学部, 教授 (70529940)
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研究分担者 |
長尾 光悦 北海道情報大学, 経営情報学部, 教授 (30343015)
P.R. Morrow 名古屋学院大学, 外国語学部, 教授 (70288447)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | モバイル空間統計 / 携帯電話 / 位置情報 / 旅行者属性 / 着地型観光 |
研究実績の概要 |
本研究では,観光地を訪れる日本人・外国人旅行者の属性ごとの情報探索+観光行動を分析し,より効率的・効果的に着地型観光に誘導する仕組みを構築するための実証的な調査研究を行う。従来,着地型観光への旅行者の誘客は,観光情報を掲載した紙媒体や旅行会社・ホテル・観光案内所による紹介や口コミなどを中心に行われてきた。そして,その誘客効果を検証する過程において,以下に挙げる問題点が未解決の状態にあった。 ①誘客効果の詳細な測定は,旅行者数や属性を把握可能な一部の観光地・施設に限定されており,旅行者属性ごとの誘客効果の詳細な検証も困難であった。 ②着地側が旅行者属性を的確に把握し,そのサービス内容を最適化することが難しい。 ③よって旅行者属性の分布や行動特性に基づいた誘客手法も,まだ確立できていない。 当研究は,モバイル空間統計やアクセス解析などのICTサービスを活用し,旅行者属性(性別・年代・居住地)ごとの行動分析と着地型観光への誘客手法を実現するため,旅行者の情報探索・観光行動をモデル化し,その誘客効果も属性ごとに検証することを企図している。さらに,観光情報提供サイトのオンライン誘客成果やアクセス解析結果と観光地の訪問者数・属性のデータとを関連づけて統計的処理を行い,その効果を旅行者の属性ごとに検証する。日本人旅行者の行動特性と比較し,訪日外国人旅行者を効果的に着地型観光へ誘客する手法の構築に向けた実証的調査を実施する。 2019年度は,関連研究のサーベイを中心に,本研究の中核となるモバイル空間統計の調査地選定および調査仕様の確定などを行った。科研費で前回実施した研究(15K01970)のデータも再検討し,得られた知見は,論文・共著書等を通じてその成果を公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当研究の最終目標は,調査期間内に旅行者属性ごとの観光行動・情報探索パターンのモデル化を完了し,そのモデル確立をもとに着地型観光誘客システム構築の基礎とすることである。まず旅行者の情報探索・観光行動に関する諸理論を整理し,行動仮説を立てる。さらに旅行者の情報探索・観光行動プロセスを実証的に調査研究・比較分析し,得られたデータから旅行者の属性ごとの標準的行動パターンを解明してモデル化する。 第1年次は,観光行動・情報探索に関する先行研究をサーベイし,まず選定地域に対する予備調査を実施した。また,翌年度以降の調査活動に備えて,調査対象地の関係者に協力を要請し,連携のための協議を開始した。 当初計画では,初年度内に調査地におけるモバイル空間統計データを入手し,解析を実行することとしていたが,既に入手済みのデータを再検討することで新たな知見が得られ,その成果を論文等を通じて公開した。調査対象地の選定と調査仕様の確定は完了しており,今後の研究計画に支障はないものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
第2年次は,前年度に調査対象地の選定と調査仕様の確定を行ったモバイル空間統計調査を実施し,その結果を解析・考察する。加えて,旅行者の観光情報探索の仮説モデルに基づいた調査計画を作成・実行する予定である。地域で催行・募集する着地型観光の(Web サイト・紙媒体など)チャネルごと・属性ごとの誘客効果を検証する(必要に応じて地域と連携した誘客実験の実施も検討する)。 第3年次は,外国人旅行者へのアンケートや現地調査を実施し,調査結果の解析・考察を行う。当該年次における調査は,訪日外国人旅行者のモバイル空間統計データを中心に分析する。さらに得られた結果を総括的に検討し,検討会・報告会を通じて,旅行者属性を考慮した包括的観光行動モデル確立および誘客手法の構築に向けた最終報告書を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は,当研究の中核であるモバイル空間統計調査の実行を初年度に計画し,予算計上していたものである。調査対象地の選定および調査仕様の確定は完了しているものの,契約上,支払いはデータ納品後となり,次年度の支出となったために発生した。なお,当該金額は,適切に年内に支出される予定である。
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