研究課題/領域番号 |
19K12569
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
辻岡 卓 四国大学, 経営情報学部, 准教授 (20389159)
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研究分担者 |
渡辺 公次郎 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (30372717)
塚本 章宏 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (90608712)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 観光資源評価 / SNS / 機械学習 / 画像分類 |
研究実績の概要 |
令和4年度は提案画像分類手法の特性把握を主目的とした。提案分類手法は学習済みモデルによる特徴量抽出、t-SNEによる次元削減、DBSCANによるクラスタリングからなる。特性を把握するために伏見稲荷大社および兼六園の2観光地を対象としたSNS投稿画像を収集し、これを提案手法を用いて分析した。 その結果、兼六園投稿画像を対象とした分類性能は伏見稲荷大社のそれと比較して大きく劣る結果となった。分類結果を目視して得られた知見として「提案手法は自然物の分類を苦手とする」ことがわかった。美術館や建築構造物のように視点場の差異が明確な観光資源においては分類性能が十分に発揮される。この場合は投稿者の興味把握に有用である。一方で自然を主体とした観光資源では似たような景色が広範囲にわたって展開されるため、撮影場所ひいては視点場の明確な把握が困難である。このため後者においては投稿テキスト分析を併用するなど画像分析のみに頼らない興味把握手法が必要と考えるに至った。 一方、投稿画像の目視分類にも注力した。徳島県各地の観光地を対象としたSNS投稿画像を対象として目視分類を実施した結果、典型的な視点場から撮影された画像以上に独特な視点場から撮影された画像が投稿されていることが明らかとなった。典型的な視点場から撮影された画像はガイドブックや観光パンフ・Webサイトに掲載されるような画像であり、訪問前から期待を抱かせる対象である。一方で独特な視点場からの画像は事前の予想を裏切るような対象物である。後者のうちポジティブな画像が多く投稿され、これが拡散されることが各観光地にとって有益であることを明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により観光需要が減少しているため、SNSへの投稿も併せて減少している。このため投稿画像の収集に困難が発生している。機械学習手法による教師なし学習で画像をクラスタリングするためには大量の画像データが必要である。中でもインバウンド観光客の我が国観光地に対する興味の明確化が本研究の軸の一つであったため、計画が大きく遅延している。 またSNS投稿コンテンツの利用規約が年々厳しくなり、分析対象SNS・分析方法・分析結果公開方法の選定に困難が生じていることも一要因である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染状況はピークダウンしつつあり、訪日海外観光客も増加すると考えられる。これら観光客のTwitter投稿を対象に分析を継続したい。また画像分析の欠点を投稿テキスト分析で補完することで観光地の特性把握をさらに進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による分析データ収集遅延により、研究進捗が滞っているため。
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