研究実績の概要 |
劇場・ホールを活用した住民と観光客の相互融合的な文化活動や観光客をオーディエンスとして呼び込み,地域再生手法の開発を行うことを目的とするが,最終年次は全体の研究のまとめと成果の社会への発信が中心であった. 研究期間中の2019年末から2022年末までは,劇場を含む文化施設の閉鎖や文化活動の自粛など,本研究の中心施設である地域の劇場活動の低下が見られた.また,観光客流入規制も行われ,そのため劇場による観光客誘致についての研究に通常の状態とは違うバイアスが見られた.そこで,研究では地域経済における生産施設としての劇場機能を新たに分析することとした.全国各地の質の高い事業を継続している劇場を対象に,2017年度から2020年度にかけてのオーディエンス数,経費および職員数の変化と併せて施設状況について調査を行った.パネル・データを使用した劇場のコブ・ダグラス型生産関数モデルによるコロナ被害状況が主体となる.生産関数モデルはランダム効果モデルが提示され,コロナ蔓延による被害としては通常年のオーディエンス数の33%となったこと,生産関数の分配率からは,収穫逓増であり劇場が大型化するほどオーディエンス数の増加に有利に働くこと, が明らかになった.文化庁等主催の「先進的文化芸術創造活用拠点形成事業 」を対象に,公的資金の経済効果を分析し,その結果,小さい事業の集合的開催によるため,資金に関しては,投資資金量の規模に関して低減, 経済効果の大きい地方自治体は,社会経済文化環境水準が高いこと,が明らかになった.これらは,東京芸大GA主催の「劇場と地域の未来」のシンポやオリパラ文化関連事業”Smart Cities and Creativity”,”International Journal of Economics, Commerce and Management” などの海外誌などで発表した.
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