22年度は、通常研究費を活用しつつ4月のIR区域整備計画提出に向けての地域調査として長崎県でのヒアリング調査を行い計画の問題点や課題についての検証を行った。また大阪IRや和歌山IRについても現地調査を行った。 4月の区域整備計画提出は最終的には大阪と長崎の二件の提案となったが、提出計画の内容検討を行った。また10月に審査結果が予想された中でマスコミ等の取材対応も行った。しかし審査結果が大きく遅れる中で、その理由の一つである収益エンジンとしてのカジノの収益性、IR型カジノのビジネスモデルの持続可能性についての検討を行うために、23年3月にマカオ調査を行い、マカオ理工大学のツーリズム研究所等のヒアリングや現地調査を行った。マカオを対象とした理由は、日本のIRのカジノ収益性が東アジアとりわけマカオカジノ市場の収益性をモデルにしていたことであり、かつ中国の刑法改正で組織的な海外ギャンブルへの誘客活動が禁止されたこと、マカオ政府のカジノ規制法の改正でジャンケット規制が強化される中で、マカオ市場の構造的変化が進んでいたことである。 調査の結果、新聞報道の断片的情報をより体系的に整理することが可能になり、①マカオ規制のカジノ法改正の内容や新ライセンス付与に向けた入札の具体的内容、つまり②ジャンケット規制が単に契約数を制限するばかりでなく、部屋貸し禁止や手数料制限などでその活動を質的にも大きく変えるものであること、③ライセンスの対象が厳格となり、いわゆる衛星カジノと呼ばれる又貸し的なライセンス運用が禁止されたことで衛星カジノの閉鎖が進んでいること、④カジノ依存脱却を目指した改革がマス客をターゲットとしておりVIP依存が大きく制約され、かつ日本市場自身をターゲットとした海外客誘客に向けた投資が大きく進んでいることが明確となった。
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