研究課題/領域番号 |
19K12584
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
千葉 千枝子 淑徳大学, 経営学部, 教授 (10779979)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ボランティアツーリズム / ダークツーリズム / ホープツーリズム / 原子力発電所 / 災害と観光 / 観光危機管理 / 観光復興 / 電源地域 |
研究実績の概要 |
本研究は、大規模災害からの観光復興について、“災害と観光”の相関性を導き出し、今後の大規模災害発生時に必要とされる段階的復興支援の在り方とその効果を、観光学の観点で考察するものである。被災地における観光行動とツーリズムの在り方を精査して、これら災害からの派生ツーリズムの効果検証を行い、類型化をはかるもので、とりわけ原子力の電源地域を調査の最大対象としている。 本研究の目的は、広義では災害発生後の観光行動を体系化して、その発展段階を追究し、定義化をする。狭義には原子力電源地域におけるツーリズムの在り方を詳らかにし、具体的には福島第一原子力発電所の事故後の観光復興と新たなツーリズム、ならびに他の電源地域における観光振興の在り様と展望について整理して可視化させることである。 これらのことから初年度の令和元年(2019年)は、先ず、関係諸機関に協力の要請を行い、電源地域観光研究会を発足させた。関係諸機関は具体的に、東京電力、福島Jヴィレッジ、福島県観光物産交流協会、JNTO日本政府観光局、JATA日本旅行業協会等であり、発足会、意見交換会ならびに単独での現地視察等を行った。福島以外の国内外の電源地域については、北海道・泊原発や台湾・国聖原発などを調査・訪問した。 日本観光研究学会第34回大会(2019年12月)では、論文「福島Jヴィレッジにおける原子力事故からの観光復興とその過程」ならびに大会発表を行った。 また、淑徳大学教育学部・経営学部研究年報 第3号(2020年3月発行)において、論文「電源地域における集客施設等の観光特性について」を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
災害と観光をテーマに電源地域(主に原子力)の調査研究を目的とした初年度調査としては、概ね計画通りに進行した。 原子力電源地域においては、福島第一原子力発電所とJヴィレッジを皮切りに、北海道・泊原発や台湾・国聖原発などの実地調査を完遂した。特に、原子力PR館などの役割等について論考することができた。また、その他の電源地域や電力会社等(大阪や沖縄等)への調査も行った。 研究の結果は、学会での大会発表ならびに所属大学の紀要で論文発表等を行った。 一方で、福島県での被害や復興についての実態調査は、年度末に新型コロナウイルス感染拡大の影響により、準備のみにとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年(2020年)上期においては、新型コロナウイルス感染拡大により国内外、移動を伴う実地調査の実施に影響が出ていることから、福島県における原子力事故の被害とその後の復興について、アンケートを主体とした調査方法に比重を置く予定である。また、観光事業者等へのヒアリングについては、非対面方式のリモートや電話・メール等で遂行の予定である。 次々年度以降は海外調査も予定しており、新型コロナウイルス感染状況を見極めながら慎重に調査研究を進める方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額(2019年度未使用額)は2746円と少額であり、特段、今後の研究計画に変更を生じさせる事由にない。当該使用額については、次年度へ実施持ち越しとなったアンケートにかかる実費(通信費や文具消耗品費、謝金等)で消化の予定である。
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