研究課題/領域番号 |
19K12584
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
千葉 千枝子 淑徳大学, 経営学部, 教授 (10779979)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 災害と観光 / 電源地域 / 原子力発電所 / ダークツーリズム / ホープツーリズム / 観光危機管理 / 観光復興 / パブリック・アクセプタンス |
研究実績の概要 |
2021年度は電源地域の主にPA拠点となりうる施設等の取材、視察、ヒアリングに注力した。訪問回数は28回、のべ22地域に渡り、福島県のほか北は北海道(幌延)から南は鹿児島(薩摩川内・指宿山川)まで網羅した。 当該年度は、申請当初、海外の原子力電源地域を視察する予定であったが、新型コロナウイルスのまん延により視察を断念した。とりわけ目的地の一つであったウクライナ・キーウ(キエフ)のチョルノービリ(チェルノブイリ)原子力発電所は、ロシア ウクライナ侵攻(2022年2月24日―)により、研究期間中の視察は不可能と判断した。 これらのことから、国内におけるあらゆる電源地域の現況を把握して、電源地域PA拠点等と観光との相関性、広義における災害の伝承施設・博物館・記念館等の概況ならびに観光資源としてのあり方への追究、東日本大震災・福島第一原子力発電所事故を含む過去の原子力事故等を教訓とした防災教育(主に教育旅行市場)等に論点の重きを置く研究方針に軌道修正をはかることとした。 当該年度の訪問視察先のうち四国電力・伊方原子力発電所周辺視察では、一般財団法人電源振興センターの協力を得て、伊方町副町長らを交え意見交換を実施した。これら視察先については、2022年3月発行「レジャー・リゾートビジネスの基礎知識と将来展望」千葉千枝子著(第一法規)や専門誌「クルーズ・トラベラー」2022winter連載頁等に発表した。 また、福島被災地域の現況把握では、いわき市や会津地方へと広域に範囲を広げ、本研究の協力団体「NPO法人交流・暮らしネット」との協働体制を整備した。具体的には、福島県南会津郡檜枝岐村へ視察研修会を実施、村長らと意見交換を行った。さらに、青森・六ケ所村周辺の現況把握や理解の醸成、PA活動等について日本原燃株式会社から協力を得るなどした。これらは次年度も継続の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究進行3カ年目となる2021年度は、新型コロナウイルスまん延の長期化、ならびにロシア ウクライナ侵攻等により、申請当初に予定していた電源地域等への視察に制限がかかった。そのためアンケートの実施を見送り、研究方針に軌道修正をはかることとした。 電源地域の主にPA拠点、さらには観光資源となりうる施設等については、すでに日本全国の約3分の2の箇所に相当する先を2021年度中に視察訪問(実地調査)した。 なお、海外の原子力電源地域の視察については、新型コロナウイルスの状況等から、初年度(2019年度)の台湾・国聖の1カ所のみとなり、以降は予定しないこととした。理由等は、「研究実績の概要」に示した通りである。 活字業績としては、論文5本、単著1本、その他雑誌等となっている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、電源地域で未だ視察等がなされていない箇所を調査し、完成年度(2023年度)上期には、日本全国すべての調査を終えることとしている。新型コロナウイルスの行動制限が解除されたこともあり、福島被災地域については、今後も継続して実地調査を重ねる予定である。 予定していた震災10年のシンポジウムが(新型コロナウイルスの影響で)開催できなかったことから、2022年度に別途、演題を変更してシンポジウムを開催予定である。また、全国の電源地域における調査・研究成果の発表の場として、新刊・単著を出版の予定であり、現在、出版元を選定している。さらに、福島におけるホープツーリズムという新たな類型についての論文を著す予定にある。 なお、今後の新型コロナウイルス等の影響が長期化するようであれば、研究期間の1年延長の検討も視野に活動を推し進める予定である。
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