本研究は、観光産業が居住環境に大きな影響を与えていると考えられる複数の都市を対象に実証的な現地調査を展開し、世界的に見ても検証が急務だったオーバーツーリズムの様相を捉え、国際観光都市における持続可能な都市政策の実践的な理論構築を試みた。オーバーツーリズムの過程で顕在化した宿泊需要の急増は、事業者による不動産投機を招いた。賃貸料金の高騰は、相対的な経済弱者が界隈に住み続けることを困難にし、住宅問題を深刻化させている場合もあることが明らかとなった。対抗策として、ジェントリフィケーションを防ぎ、観光系用途(宿泊施設等)の適切な立地ならびに界隈にとって不可欠な生業や店舗の保全が必要であることを論じた。
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