研究課題/領域番号 |
19K12601
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研究機関 | アール医療専門職大学 |
研究代表者 |
幅崎 麻紀子 アール医療専門職大学, リハビリテーション学部, 教授 (00401430)
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研究分担者 |
原田 いづみ 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (10846314) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ジェンダー・クォータ / 女性の社会参画 / ジェンダー役割規範 / 副市長 |
研究実績の概要 |
2023年度は、ローカル社会における人々のジェンダーをめぐる価値観の変化の把握のため、前年度に調査を実施する予定だった地方都市G市と、調査を実施した農村部B地区を訪問し、引き続き資料収集をするとともに住民への聞き取りや参与観察等、補充調査を行った。また、クォータ制を導入していないにも関わらず、国会の女性議員の割合が50%を超えているニュージーランドを訪問し、女性が政治に参画する歴史的文化的背景や女性政治家の自己表象の方法や有権者へのアピール、政党との関係性等について、資料収集を行った。 ネパールG市での現地調査からは、女性の副市長や代議員を中心に、「子どもにやさしい自治体」を標榜し、家計調査の実施や女性のエンパワーメント活動への支援施策を継続して行っていること、女性地域保健ボランティアの研修の実施、国際女性デイの周知などが行われていることがわかった。また、政治活動や地域イベントへの参加を積極的に行っているとともに、副市長はフェイスブック等のSNSを活用し、娘や母としての姿を発信していることがわかった。 B地区での調査からは、比較的若い年齢層(30歳~40歳代)の住民を中心に、副市長とフェイスブック等でゆるやかな繋がりを持ちながら、その動向に関心を持っていることがわかった。その一方で、女性の副市長の誕生が、ジェンダーをめぐる価値観に影響を与えたとは認識してはいないことが窺えた。 B地区の参与観察からは、女性の社会進出が進んでいる様子が窺えた。専業主婦をしていた女性も仕事を得て、カトマンズで働き始めるようになった例が数件見られた。また、妻の就労により夫が食事作りをする機会が増え、洗濯機の導入により洗濯物を干す男性の姿が見られるなど、家事分担に若干の変化がみられた。しかしながら、これらの変化と女性の社会参画との関係性についてははっきりしない部分が多く、さらなる調査・分析が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度も現地を訪問し調査活動を行ったものの、コロナにより現地調査中断と2022年度の地方統一選挙により、研究計画が後ろ倒しとなってしまっている。また、研究代表者及び共同研究者の所属の移動が重なり、今年度予定されていた聞き取り調査とその分析については、遅れが生じた。2024年度は研究計画に沿って、研究の分析とまとめを進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、SNSによる女性政治家の自己表象についてのデータ収集を継続するとともに、G市を中心に文献資料を収集し、副市長や女性議員へのインタビューを行う。また、B地区を中心に聞き取り調査及び参与観察を続け、ローカルに暮らす女性たちの社会進出やジェンダー規範についての考察を続ける予定である。また、これまでのデータを分析し学会等で発表し、論文を執筆して投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナにより実施できなかった現地訪問調査を2023年度に実施するため、長期間に渡り現地に滞在する予定であったが、調査のための十分な時間を確保することができなかった。そのため、旅費が予定していた額に満たず、次年度使用が生じている。 最終年度は、現地にて補充調査を行う計画であり、そのための旅費として支出する。また、学会での発表のための経費として支出する。
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