研究実績の概要 |
本研究は2段階のデザインで、質的研究から見出された仮説を量的研究によって検討した。1・2年目では、LGBT学生が大学生活で抱く困難とニーズを明らかにするためにインタビュー調査を行った。首都圏の各大学のLGBT当事者学生20名以上を対象に行った半構造化インタビューのデータを分析し、LGBT学生と大学風土の関係性について仮説を生成した。分析内容を3年目に日本語論文にまとめて、ジャーナル掲載に進んでいる。 3年目では、質的研究で得られた仮説を量的に検証するため、全国の大学生(1700名程度)を対象に、アンケート調査を行った。アンケート項目は大学風土に関する尺度としてRankin(2004)を一部日本語化(金ら,2018)したものや、学生の学術パフォーマンスを測る指標を用いた。データは因子分析し、英語論文の発表を準備中である。 また、社会還元を目的に、大学ダイバーシティ・アライアンス(UDA)がLGBT学生や高校生を対象に実施したイベント(2021年4月25日)に参加し、当事者からの大学生活についての質問に回答した。さらに、UDAが実施したシンポジウム(2022年3月19日)でアンケート調査の結果の一部を報告した。 最後に、本調査をさらに拡充するため、学生から教員に対象を広げ、次の基盤研究Cの調査を準備し、継続するための研究費を獲得した。 引用文献: 金智慧ら (2018). 日本の大学におけるLGBTに関する大学風土調査―海外尺度の日本語 版作成と実施を通して―東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース紀要, 41, 105-112. Rankin, S. R. (2004). Campus climate for lesbian, gay, bisexual and transgender people. The Diversity Factor, 23(1),18-23.
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