本課題は、手作り品の生産と消費のプロセスを歴史的検証を目的とし、ジェンダー的視点から手仕事をめぐる問題を、言説に着目して以下の点を明らかにした。 第一に、手芸的営為には常に稼ぐ/稼がないという選択肢が用意され、前者は家庭的趣味として奨励され、後者は生活手段として奨励されており、これらは女性の市場経済への動員と結びつきコントロールされてきたこと。第二に、趣味の手芸により社会参画することが求められ、女性たちを無償で社会参画させる言説のコントロールが行われてきたこと。第三に、現代の手作りブームは過去の手仕事の価値づけと大きな変化はなく、手仕事の価値を曖昧化しながら消費イデオロギーに女性を回収すること。
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