1970年代に遡ってチリ農業の構造変化を分析し、その延長線上に現在の生鮮果実やワインに代表される農産物輸出の拡大があることを明らかにした。農産物輸出の拡大は90年代以降のチリの経済成長を牽引する一方で、生産の現場においては「持つ者・輸出企業」と「持たざる者・季節労働者」が対極に位置し、貧富の差という植民地時代以来のチリ農村部における構造問題が再編強化されていることを明らかにした。また、これまで分析対象として大きく取り上げられてこなかったチリ農村女性を分析対象とし、こうした構造変化のなかで、彼女たちの主たる雇用形態が季節労働という特徴を色濃くもつ、非常に不安定なものであることを明らかにした。
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