研究課題/領域番号 |
19K12611
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研究機関 | 東京国際大学 |
研究代表者 |
石黒 久仁子 東京国際大学, 国際戦略研究所, 准教授 (90573915)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ジェンダーとマネジメント / 人的資源管理 / ダイバーシティ・マネジメント / 国際比較 / スウェーデン / ヨーロッパ |
研究実績の概要 |
当該年度は研究初年度として、研究対象のスウェーデン及びその周辺欧州諸国の1)企業におけるジェンダー平等に関するマネジメント施策・慣行に関する文献・データのレビュー;2)欧州で活躍する女性・男性を対象とした聞き取り調査の実施;3)これまでの研究及び本研究の進捗をベースとした研究発表を実施(”Gender (in)equality in business and countries welfare systems: discussion from a comparative research on women’s career development between Scandinavian countries and Japan”, 2019年8月, European Sociological Association); 4)ジェンダー・フェミニズムをテーマにした研究会への参加;5)国内日資・外資系企業人事担当者への聞き取り調査、などより更なる分析視覚を形成すると共に;6)調査対象企業・組織の選定をした。 ジェンダー平等と経済分野での女性の活躍が進む欧州諸国における企業マネジメントが、実際ジェンダー平等の目的と認識を基に人事施策を実施しているのかという点は本研究の基本的問題意識であるが、学会、研究会での議論から、1)北欧諸国の大企業においても、いまだ企業組織内の力関係、組織構造、意思決定プロセスは非常にmasculin であり、2)ジェンダー平等が最も進んでいる各国でも、ビジネス分野ではジェンダー不平等が存在し存続させる傾向があるという問題を抱えており;3)当事者である女性マネジメント層は現在も状況を批判的に分析し、改善のための活動を積極的に実施している、という大変有意義な知見を得た。これを基に分析枠組みを再構築し次年度フィールドリサーチを実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
[研究実績の概要]で記載されているように、本年度は当初計画に沿ってほぼ予定通り研究を実施することができたが、2019年度末(2020年3月予定)に第一回のスウェーデン現地調査を実施する計画については、調査対象企業の更なる絞り込みと効率的なフィールド・リサーチ実施のための情報収集を継続して進めることに加え、新型コロナ肺炎を原因とする全世界的な渡航制限及び活動自粛の観点から、2020年夏季に調査を実施することとした。(国際情勢・環境により、2021年春季に実施の可能性あり。)
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今後の研究の推進方策 |
[研究実績の概要]で指摘したように、ビジネスの分野におけるジェンダー平等は、ビジネスという領域自体がいまだmsculineであるという報告・知見がある。この点を聞き取り調査のデザインに取り入れ、今後1)スウェーデン現地企業でのフィールド・リサーチ;2)文献・データ(政府・国際組織など)の更なる収集;3)国内企業及び国内外資系企業の情報を収集する。 フィールド・リサーチ、企業への情報収集では、各企業の人事マネジメント戦略・慣行に加えて、 組織内の力関係・意思決定プロセス・組織内のフォーマル/インフォーマルなコミュニケー ションの方法などのマネジメント・プロセス及び企業文化を中心に聞き取り調査を実施する予定である。蓄積されたデータは比較・分析され、マネジメント側のジェンダー平等実施への機運とモチベーショの有無と、女性の活躍やジェンダー平等や多様性の受容が人事マネジメント戦略といかに相互連関し、イノベーショ ンと競争優位性を創出しているか、あるいは阻害しているのかを見出すことを目的とする。 尚、本報告書提出時点では、スウェーデンをはじめとする欧州全域は渡航渡航中止勧告が出ており、フィールド・リサーチの実施可能性は流動的である。尚、2020年8月にEuropean Association for Japanese Studiesでの研究発表を予定していたが(既Accepted)、現時点で2021年度への延期が既に決定されている。 このような状況を鑑み、2020年度は1)文献レビューを更に充実させ;2)日資・外資及び国内スウェーデン企業への聞き取り調査をオンラインのツールを必要に応じて積極的に実施し;3)同時にスウェーデン現地企業に対しリモートで調査を実施するための方策・コンタクトを積極的に行い、新たなリサーチ・メソッドを構築・展開し、;4)レビュー論文の執筆・投稿を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初2020年3月にスウエーデン、周辺諸国の現地調査を実施する予定であったが、効率的な且つより効果的なリサーチを実施するため、また、全世界的な国際移動の制限と活動の自粛が施行されているため、2020年夏季(状況によっては2021年春季)に実施することとした。このため、旅費及び調査で発生するインタビューのテープ起こしの費用が2020年度に変更となった。
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