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2021 年度 実施状況報告書

女性の活躍と人事マネジメント戦略の国際比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K12611
研究機関東京国際大学

研究代表者

石黒 久仁子  東京国際大学, 国際戦略研究所, 教授 (90573915)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードジェンダーとマネジメント / ダイバーシティ・マネジメント / 国際比較 / ヨーロッパ / スウェーデン / フィンランド / 人的資源管理
研究実績の概要

本研究は雇用の分野における女性の活躍推進を分析するにあたり、本研究者のこれまでの女性のキャリア形成の国際比較調査研究から得られた知見を発展させ、スウェーデンを中心とした北欧諸国の事例と日本の事例を比較することにより、比較対象企業の人事マネジメントの各機能、分野の施策と慣行及び組織文化を理解・分析し、ジェンダー研究にマネジメントの視点を加えた新たな知見と、我が国の女性活躍の一助となる研究の遂行を目指している。2021年度の主な成果は以下4点となる。
1)2021年度は、2020年度に引き続き海外渡航が困難な状況にあり、現地調査の実施、現地学会への出席は延期となった。しかしオンラインツールを基軸として、スウェーデンの大学研究者、隣国フィンランドの政府関係者、企業人事担当者、国内でダイバーシティ・マネジメントを推進している個人に積極的にインタビュー調査を実施した。スウェーデン、フィンランド両国関係者とのインタビューでは、政治・経済・社会環境の歴史的変化と、近年のグローバル化に係るマネジメントシステム変化への要請の要因により、企業のジェンダー平等推進の詳細を確認できたものの、両国においては未だ多くの課題が残っていることが見出された。また、両国における2022年度の事例研究のためのネットワークを形成し、海外渡航の状況を見ながら現地もしくはオンラインにて聞き取り調査を実施する予定である。2)上記成果とこれまでの研究の実績を踏まえ、2021年8月にEAJS、及び翌22年4月にBSAで学会発表を実施した。3)更に、本研究の分析の一部である日本国内の雇用機会均等法の発展についての論文を発表した。4)同時に、国内におけるオンライン、対面の研究会への参加を積極的に実施して、同分野の他大学研究者との研究会、共同研究の立ち上げを行ない、2022年度に向けた更なる研究活動の積極化を実施している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

「研究実績の概要」に記したように、2021年度は2020年度に続いて、海外への渡航と積極的な活動の双方が自粛となり、現地調査が未実施の状況である。更に、ヨーロッパを中心とした学会参加も全てオンライン参加となり、現地の研究者との交流に制限があった。しかし、2021年度はスウェーデン、フィンランドの多くの研究者・個人と意見を交換、状況を聞き取ることができ、2022年度の調査に向けた基礎を築くことができた。
オンラインを活用した研究は海外渡航自粛における研究実施の状況の多くの部分を補えるものであるが、本研究の中心は海外現地調査を基本とした実証研究であり、更なるデータ収集は必須である。今後の状況を見据えながら、2021年度はスウェーデン、フィンランドの多くの研究者・個人と意見を交換、状況を聞き取ることができ、2022年度の調査に向けた基礎を築くことができた。また、日本国内の研究会活動も徐々に活発化し、リサーチ・メソッド、分析視角の検討・再構築に向けた有意義な活動を行うことができており、最終年度に向けての基盤を作ることができた。

今後の研究の推進方策

本年度は研究最終年度として、以下の活動を実施する。
1)スウェーデンを中心とした北欧諸国でのフィールド・リサーチ。対象は各国の企業で(製造業を中心とした大企業及びIT関連・サービス産業を中心とした新興企業を計画)、ジェンダーに係る人的資源管理の施策と慣行について、a. 人事担当者、b. 男女マネジャー、c. エグゼクティブ・シニアマネジメントの3つのポジション・ホルダーとの聞き取りを目指す。同時に、現地研究者に各国のジェンダー施策の発展と現状についてディスカッションを実施する。
2)2022年度は4月に既にBSAでの発表を実施したが、本研究の成果の集大成として、2023年3月開催のAssociation for Asian Studiesにおいて、スウェーデン及び北欧諸国の事例と日本の事例の比較研究の結果を発表すを目指し、研究取りまとめ、学会参加への応募を実施する。
3)研究成果の論文投稿を目標とする。(Gender in Management (Emerald), Work, Employment and Society (BSA)を目標とする。)
調査・分析の焦点は昨年度の内容を継承し、いかに企業がジェンダー平等をサポートするための施策を立案・実施しているかを解き明かす点にある。更に、政治・経済・社会の歴史的コンテクストから、企業内のジェンダー施策がどのように変遷していったかを丁寧に解き明かすことにより、スウェーデンを中心とした北欧・ヨーロッパ諸国の成功要因を日本社会・経済/ビジネス界においてどのように適用していけるのかを考察する。また、ビジネスの分野でジェンダー平等が進んでいると認識されているそれら諸国においても経験している課題についても掘り下げ、根源的に存在するビジネス活動におけるジェンダー平等推進への課題についても理解を深め発表していく。

次年度使用額が生じた理由

2021年度は前年度に引き続き2019年末より続くCovid-19の拡大とその影響を受けた海外渡航の中止もしくは自粛要請により、2019年度終わりより延期となっているフィールド・リサーチと、それを受けた2021年度予定の夏期・春期予定のスウェーデン、周辺諸国でのフィールド・リサーチ、及び欧州・アメリカでの学会のオンライン開催により、本研究の予定費用の海外出張にかかる旅費(リサーチ2回、学会参加1回)が翌年度(及び翌々年度)に繰越となったため、本年度使用予定である。また、現地調査の実施により発生するインタビューテープ起こし(約20時間)費用も、現地調査の実施と同時に支出する予定であるため、本年度使用予定に繰り越された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Gender equality in the Japanese workplace: Development over the 35 years since the enforcement of the EEOL2022

    • 著者名/発表者名
      Kuniko Ishiguro
    • 雑誌名

      文京学院大学外国語学部紀要

      巻: 21 ページ: Pp.1-17

    • 査読あり
  • [学会発表] The impact of the Covid-19 on gender equality: A case study of Japan2022

    • 著者名/発表者名
      Kuniko Ishiguro
    • 学会等名
      British Sociological Association
    • 国際学会
  • [学会発表] Can Japanese companies transform to become more gender equal organisations?: Findings and discussion from a ten-year series of comparative research with European organisations.2021

    • 著者名/発表者名
      Kuniko Ishiguro
    • 学会等名
      European Association for Japanese Studies (online)
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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