研究課題/領域番号 |
19K12612
|
研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
山口 理恵子 城西大学, 経営学部, 准教授 (30509120)
|
研究分担者 |
稲葉 佳奈子 成蹊大学, 文学部, 准教授 (70431666)
岡田 桂 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90386657)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 政策言説 / 女性スポーツ |
研究実績の概要 |
本研究では、スポーツ政策におけるGender Equalityに関する政策言説や「女性スポーツ」施策の政治性について、日本及びASEAN諸国を中心に考察していくことを目的としている。 2010年頃から日本では、「女性スポーツ」がスポーツ政策の中で本格的に研究・施策のテーマとして取り上げられるようになった(例:文科相マルチサポート事業など)。2011年度、2012年度に文部科学省のマルチサポート事業を受託した順天堂大学女性スポーツ研究センターは身体・生理的、心理・社会的、組織・環境的課題を含む「女性アスリート戦略的強化支援方策レポート」を提出したが、その後のマルチサポート事業の公募条件は、競技力向上に直結する医科学的な調査研究に特化されるようになった。また、「女性スポーツ」政策には、女性の運動実施率の向上も一つの課題として掲げられているが、数値目標達成がことさら注目され、「なぜ運動実施が必要なのか」、「なぜ運動実施率が低いのか」等の根本的議論がほとんどなされてきていない。 これらのこのことから、グローバルな「女性スポーツ」政策の一環であるようでいて、1)日本では女性アスリートの医科学的支援に特化されていること、2)そのことは女性アスリートの身体に対する医科学言説を通じて「女性像」の創造・構築につながる可能性が高いこと、3)女性アスリート支援が医科学的支援に限定的である日本の「女性スポーツ」政策は、社会・文化的課題とともに包括的に推進される諸外国のGender Equality施策とは異なることがわかる。 2019年度は、主に資料収集及びその分析とともに、共同研究者との研究会を重ね、学会での分科会にて上記内容について問題提起を行った。またマレーシアスポーツ庁長官、Dr Wirdati Mohd Radziの来日に合わせてインタビュー調査を実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年3月に予定していたマレーシアのクアラルンプール及びトレンガヌでの調査を断念した。また2019年度はタイやフィリピンなどASEAN地域における女性スポーツ政策の影響・実態を調査する予定であったが計画することができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
ASEAN地域への渡航スケジュールが立てられないため、計画を保留し、2020年度はこれまでの資料・分析をまとめて学会へ投稿できるよう準備する。特に、グローバル・ガバナンスの政治性と「女性スポーツ」政策の関連について、アジアにおけるスポーツ普及の歴史的観点から分析して行きたい。 また「女性スポーツ」政策の一つにある「女性の運動実施率の向上」が新自由主義経済のもとで推進されていることを確認しながら、日本を含むアジア地域を対象に、スポーツをアジアに広めた欧米諸国にはない「例外」について探求する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大影響のため、予定していた海外調査に行けなかったことが大きな理由である。調査研究では、現地語しか通じない場所も予定していたため、研究協力者の交通費なども生じる予定であったが、未使用のままになっている。日本国内の海外渡航の規制や現地の様子を見ながら、できるだけ今年度中(2020年度)に少なくとも2カ国は調査に行きたい。
|