研究課題/領域番号 |
19K12614
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
高橋 裕子 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (70226900)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 女子大学 / セブンシスターズ / トランスジェンダー / 学生支援 / 高等教育 / SOGI / リーダーシップ / 女性史 |
研究実績の概要 |
2019年度は米国の女子大学におけるトランスジェンダーの学生の受け入れや支援について、これまでの調査に基づき報告してきたことを、読者層がそれぞれ異なる、『女たちの21世紀』や、座談会で『アメリカ研究』に、そして『私学経営』などに発表した。 夏期休暇中にはウェルズリー大学において調査を実施した。図書館とアーカイブではトランスジェンダーに関する文献リサーチを行ったが、とりわけ、アポイントメントをとってサポートを受けた、ウェルズリー大学卒業のライブラリアンから聴き取ったウェルズリー大学での経験や寮生活についての話が非常に参考になった。併せて、Residential Life & Student HousingのAssistant DirectorやOffice of Intercultural EducationでAssociate Dean of Students for Inclusion and Engagementにもインタビューを行うことができ、多くの示唆を得た。さらに、ライティングセンターの専任教員からも多岐にわたる話を伺うことで、セブンシスターズの最新の状況について知見を深めることができた。 11月には米国のアメリカ学会(American Studies Association)の年次大会に参加し、トランスジェンダー研究に関するセッションに参加することで、米国における当該研究の最新動向に触れることができた。本年次大会において、トランスジェンダー研究に関連したパネルは16もあり、研究の幅の広さが見て取れた。ASAの年次大会において報告を聞いたスーザン・ストライカー氏には、1月、お茶の水女子大学で開催されたIGS国際シンポジウム「トランスジェンダーが問うてきたこと」でも、再度別の報告を聞くことができ、きわめて示唆的であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた海外調査を行うことができ、また、米国で開催されたアメリカ学会(American Studies Association)の年次大会にも出席でき、最新の研究動向に触れ、知見を深めることができた。 また、お茶の水女子大学で開催されたIGS国際シンポジウム「トランスジェンダーが問うてきたこと」にも出席することができ、トランスジェンダー研究のリーディングスカラーである、スーザン・ストライカー氏とのネットワークができたことは極めて有意義であった。 アメリカ研究者に加えて、大学行政に携わるアドミニストレーターやジェンダー研究者等、様々な読者層に本研究の成果を届ける機会に恵まれたことは意義があった。 リサーチを行う際には、セブンシスターズの歴史的コンテクストや卒業生の幅の広さも視野に入れつつ、最新の状況を把握するよう努め、女性のリーダーシップ教育について理解を深めた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は冒頭から新型コロナウイルスの感染拡大の影響を様々に受けている。第一に、米国ボルチモアで開催される予定であったバークシャー女性史会議では本研究テーマについて報告を予定していたが中止となった。第二に、トランスジェンダーに関し北海道大学でのアメリカ学会年次大会でも報告する予定であったが中止となった。第三に、ポーランドのポズナンで開催される予定であったInternational Federation for Research in Women's Historyの学会にも参加する予定であったが、これも新型コロナウイルスの感染拡大のため中止となった。今年度は海外への出張が困難であるので、国内でもできる資料収集と文献のリサーチを中心に行う予定である。また、Zoom等を用いての面談や会議を持つことも工夫していくが、今年度中止となった会議の一部は来年度に延期されるものもあるようなので、出張旅費を来年度に繰り越すことも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
福岡で開催予定の国内出張に参加することができなかったため、4万円程度の残額が生じた。今年度以降の出張費若しくは資料代として支出する予定。
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備考 |
「備考」 兼子歩、中塚幹也、髙橋裕子、杉山文野、中村美亜、座談会「トランスジェンダーの現在」『アメリカ研究』53、2019年、1-34。髙橋裕子、時の課題「世界大学ランキングをめぐる課題―私大連が行ったアンケート調査からー」 『IDE 現代の高等教育』616、 IDE大学協会、2019年、 64-67。
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