本研究では、ソーシャルメディアによりジェンダーに関する差別・抑圧の解消のためのいかなる機会とリスクが生まれているのかを検討した。またソーシャルメディアを含む形でのジェンダーとメディア研究の再構築も目指した。性差別に批判的な言説の形成と個人のソーシャルメディアの利用実践を検討した結果、ソーシャルメディアには社会的弱者のエンパワーメントを促す反面、人権侵害や暴力の温床にもなっていることがわかった。問題解決には、ソーシャルメディアを捉えた新たなメディアリテラシーの構築と利用者間の意識啓発、そしてプラットフォーム事業者を含む様々なステイクホルダーの間の対話と協働が必要であることもわかった。
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