研究課題/領域番号 |
19K12621
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
山森 亮 同志社大学, 経済学部, 教授 (90325994)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 女性解放運動 / インターセクショナリティー / 経済思想 / 社会的存在論 / ジェンダー / ベーシックインカム / オーラルヒストリー |
研究実績の概要 |
新型コロナウィルスの感染拡大とその防止措置諸状況により、当初予定していたフィールドワーク、インタビュー調査、アーカイブ調査などはできなくなった。そのため研究計画をやや変更し、以下のことを行った。第一に、オンラインで可能な範囲で、インタビュー調査を継続。第二に、オーラルヒストリーと経済思想の関係について、経済思想史領域におけるdiversityを求める研究者グループと交流しながら、経済思想史的および理論的研究を進めた。その中間的な成果について、5月にはThe 1st History of Economic Thought Diversity Caucus Conferenceにて、6月にはInternational Association for Feminist Economics Annual Conferenceにて、報告を行った。第三に、これまでのオーラルヒストリー調査やアーカイブ調査から浮かび上がるベーシックインカムの歴史と定義の再検討について、8月にBasic Income Earth Network Annual Conference にて、プレナリーセッションに招待され、また分科会でも詳細な報告を行った。2022年1月にはその論文が国際学術誌にアクセプトされ、また2022年5月には同学術誌による2021年度の最優秀論文賞を受賞することとなった。第四に、一昨年より行っている「経済理論におけるneed概念の分析」を継続し、その部分的成果を9月にCambridge Journal of Economics主催の国際会議で報告した。また研究グループCambridge Social Ontology Groupにオンラインで参加。第四に、本研究に関心を示してくれた英国、カナダ、アメリカなどのフェミニスト運動実践者および研究者の方達とともに、フライブルグ大学の協力を得て、オンラインでの研究会の開催などを、2020年度から始めたが、2021年度も継続して研究交流を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論的側面の研究が当初の予定以上に順調に進んでおり、その部分的成果を含む論文の、Basic Income Studiesへの掲載がアクセプトされ、また2021年度Basic Income Studies Best Essay Prizeを受賞することとなった。 フィールドワークを伴う部分の研究は、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う諸状況により、当初の予定通りの進行は困難となったが、すでに信頼関係のある調査対象者の方々の一部とはオンラインでインタビュー調査を行うことができている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年夏にも渡英してのインタビュー調査、アーカイブ調査などを予定していたが、新型コロナウィルスをめぐる状況から、予定通り行うのが難しい状況である。 2022年度や今後に新たに関係を築きインタビューをお願いするつもりでいた方々へのインタビュー調査、困難ではあるものの、現在オンラインで行う調整をしており、予定通りというわけにはいかないが、ある程度はオンラインで行うことができそうである。 また、研究課題のうち、これまでのアーカイブ資料の分析や、理論的側面の探求、理論と実践との関係を重点的に進めることを考えている。 具体的には、第一に、フェミニスト経済学における必要概念と、さまざまな実践における普遍的必要の認識との関係について、フライブルグ大学ベーシックインカム研究所の連携研究者の協力を得ながら研究を進めており、2022年10月に予定されている同研究所主催の国際会議で報告予定である(オンライン)。第二に、イギリスで1970年代にベーシックインカムを主張した女性解放運動の実践の持つグローバルフェミニズムへの含意について、2022年9月から10月にかけてアメリカ・ワシントン特別区にて開かれる国際会議に招へいを受けており報告予定である(報告方法についてはこちらの事情でオンラインを希望しており現在調整中)。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ禍による制約のため、海外での調査ができなかったためである。 海外のアーカイブ資料のうち、有料で取り寄せが可能なものの取り寄せにかかる費用、オンラインアーカイブの利用料、文献の購入費、英語論文草稿のediting & proofreading、インタビューデータのtranscriptionなどのサービス利用料などへの使用を計画している。
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