研究課題/領域番号 |
19K12622
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
大原関 一浩 西南学院大学, 国際文化学部, 准教授 (00749880)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 性管理 / ハワイ / 移住 |
研究実績の概要 |
「京都アメリカ研究プロセミナー2019」で、2016年に出版した書籍に関する内容と、現在進めているハワイにおける日本人売買春の研究について報告した(2019年6月)。アメリカ学会招聘教授のJolie Sheffer教授とWillam Nessly教授からコメントと質問をもらい、フロアの参加者と議論した。文化研究・アメリカ研究の成果から学び、市民権とジェンダー、人種の序列、アメリカとハワイの比較などについて議論を深めていく必要性を確認した。 米国カリフォルニア州サンブルーノ市の国立公文書管理局(National Archives & Records Administration at San Francisco)を訪問し、ハワイの連邦地方裁判所の裁判記録を収集した(2019年9月)。準州昇格以前のハワイ共和国時代では、地元の警察や政府は売買春を黙認し、指定地区での営業を認めていたが、ハワイが合衆国の準州になった1900年以降、本土における革新主義運動の影響を受けた連邦政府の移民官・司法省の検事たちは、ハワイにおける売買春を厳格に取り締まり始めた。そのプロセスについての理解が深まった。 米国ハワイ州ホノルル市の第一巡回裁判所(First Circuit Court), カポレイ司法施設(Kapolei Judiciary Compex), ミッション・ハウス図書館(Hawaiian Mission Houses Library)で資料収集した(2020年2月)。日本人周旋者および売買春女性に関する民事裁判所の記録、管理売春に反対する市民団体の記録、などを収集した。これらの資料により、連邦と地方の法制度と日本人売買春の関係、管理売春および日本人売買業者に対する地元ハワイの改革家たちの意見についての理解が深まった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた2回の海外資料収集を遂行できたこと、さらに、国際セミナーで発表・議論の機会を与えられ思考が深まったこと、などの理由による。
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今後の研究の推進方策 |
「京都アメリカ研究プロセミナー2019」での議論をふまえ、アメリカとハワイにおけるジェンダー、市民権、人種、などに関する先行研究の整理を行う。ハワイの連邦地方裁判所記録を分析し、研究成果として論文にまとめる(うち1本は年度内に出版した)。さらに、ハワイ領の民事・刑事裁判所記録を分析し、2020年度に論文にまとめる。 2020年度は、オーストラリアにおける日本人売買春に関する海外資料収集を2回計画していたが、夏休み中は新型ウィルス感染拡大の影響で実行できない可能性が高いので、2020年の春休み中に2回分を実行したいが、これも感染状況によってはできなくなる可能性がある。従って、2020年度中は、先行研究の読み込み、インターネットで利用できる史料の分析、国内学会・研究会での発表・討議により多くの時間を使う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、書籍の購入手続きが遅れたこと、航空券が割安で購入できたこと、デジタル撮影により複写費用が抑えられたこと、などによる。 翌年度は、2回の海外資料収集、1回の国内資料収集、学会発表、関連書籍とデータベース利用権の購入などに使用する計画である。
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