研究課題/領域番号 |
19K12622
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
大原関 一浩 西南学院大学, 国際文化学部, 准教授 (00749880)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 性管理 / 移住 / ジェンダー / オーストラリア / 北米 / アラスカ |
研究実績の概要 |
2021年度は、オーストラリアで史料収集を行う予定だったが、渡航規制および現地のウィルス感染状況のため実行できなかった。しかし、これまで北米とオーストラリアで収集してきた史料、新聞データベース(オーストラリア国立図書館が運営する『Trove』など)で収集した新聞記事などの分析にまとまった時間を使うことができた。その分析結果をもとに、オーストラリアと合衆国における日本人売買春の構造的な特徴を再検討し、所属大学の紀要論文にまとめた(『国際文化論集』第36巻1号)。 今回、オーストラリアにおける日本人売買春と、同時代の合衆国における日本人売買春を比較検討するなかで、いくつかの重要な知見が得られた。具体的には、1)周旋と渡航のプロセスにおける中継港(香港・上海・シンガポール)の役割、2)地域と地域を結ぶ移住パターンを創出したネットワークの重要性、3)太平洋地域(The Pacific)という枠組みで各地の日本人売買春を比較するメリット、などである。今後、同時代の日本人売買春を横断的に比較検討していくなかで、役立つ分析の視点と枠組みを確認することができた。 また2021年度は、アラスカにおける日本人売買春に関する史料収集を現地で行う予定でだったが、渡航規制および現地のウィルス感染状況のため実行できなかった。しかし、二次文献(英語・日本語の古書籍)の購入と分析、データベース(『Newspaper Archives』など)を利用して史料の読解にまとまった時間を使うことができたので、当該テーマに関する理解は深まっている。次年度、現地で史料収集の際それらの知見を活かしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、オーストラリアおよびアラスカで史料収集を行う予定だったが、ウィルス感染状況により実行できなかったので、その点では遅れている。一方、前学期・夏季休暇期間中、これまで集めてきた史料とオンラインデータベースを利用した史料分析に時間を使うことができたので、本課題の重要な目的(比較分析による日本人売買春の地域的特徴の把握)については一定の成果があった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、現地のウィルス感染状況と所属大学の業務と出張に関する方針によるが、2020年・2021年度に行えなかった海外史料収集(オーストラリアと北米アラスカ)をしたい。行えない場合は、二次文献の購入と分析、ネットで利用可能な史料の分析を続ける一方で、国内の図書館やアーカイブ(国会図書館や外交史料館)で利用可能な史料(公的な記録や明治・大正期の日本語書籍など)を分析し、関連情報の収集を行う。また、北米・オーストラリア・アラスカ以外の太平洋地域(東アジア・東南アジアなど)に移住した日本人売買春女性に関する先行研究も見直し、比較分析を通じて当該テーマへの理解を深めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、予定していた海外資料収集ができなかったことによる。 次年度は、2回の海外資料収集、1回の国内資料収集、学会発表、関連書籍の購入などに使用する予定である。
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