研究課題/領域番号 |
19K12624
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研究機関 | 昭和学院短期大学 |
研究代表者 |
松野 真 昭和学院短期大学, その他部局等, 教授 (50721932)
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研究分担者 |
大平 泰子 富山国際大学, 子ども育成学部, 准教授 (00555188)
鈴木 国威 就実大学, 教育学部, 教授 (20580913)
鈴木 賢男 金沢学院短期大学, 幼児教育学科, 教授 (90622738)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | デートDV / 予防教育 / 加害者 |
研究実績の概要 |
現在、日本では、DV予防教育を進めていくひとつの材料として、いわゆる「デートDV」が取り上げられている。デートDVを通してDVを考えさせるとともに、親密な間柄にあるカップル間の暴力を予防する教育が行われている。近年、DVとデートDVは異なるメカニズムを示すとの報告もあり、本研究では、デートDVのメカニズムを明らかにすることで、より有効なデートDVの予防教育プログラムを提案することを目的とする。 本研究では、これまでの先行研究から、国際的に広く使われているCADRI( Conflict in Adolescent Dating Relationships Inventory)に注目し、CADRIの日本語版の作成に着手した。CADRIは、2001年にWolfe, D. A.らにより開発された質問紙であり、CTS2とともに多くのデートDV研究に用いられている。CADRIの日本語版の作成にあたっては、Wolfe, D. A.に日本語版作成の許諾を依頼し了解を得た。 2020年度は、国際的に認められた翻訳方法の基準に基づいて作業を進めた。具体的には、英文で記載された原文の質問紙を日本語に翻訳し、日本語訳の内容を吟味した。さらにその日本語訳を再度英語に翻訳する作業を行なった。日本語訳から再度英語に翻訳し直した質問紙を開発者であるWolfe, D. A.に送付し、日本語訳の内容が原文の意図を正確に反映しているかについて確認を依頼し了解を得た。現在は、日本語版CADRIの信頼性・妥当性の検討するための関連尺度を決定し、2021年度は信頼性・妥当性の検証に向けて、インターネット調査によりデータを取得する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
国際的に求められている翻訳方法を丁寧に実施する過程に時間がかかっている。また、日本語版CADRIの信頼性及び妥当性を検証するための関連尺度の決定に時間がかかっている。当初の研究計画では、大学生を対象に信頼性及び妥当性の検証作業を行う予定であったが、コロナウイルスの感染拡大に伴い、大学内において大学生を対象にした検証作業が思うように進んでいない。そのため、今後はインナーネットによる調査等も検討していく。
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今後の研究の推進方策 |
日本語版CADRIを完成後、日本語版CADRIを用いてデートDVの個人差の特性及びデートDV傾向と他の心理的な要因との関連性について検討する。 デートDVのメカニズムを検討するため、デートDVに至るかどうかの個人差は、連続的であるとの仮説に基づき、デートDV傾向の分布の解明を行う。デートDVは多くの要因から影響を受けており、このような他要因から形成される特性の個人差は、正規分布を形成することが様々な研究で示されている。従って、デートDVの生成に関してもデートDVを行なった人と行わなかった人との差が、連続的な相違であれならば、今まで分断されていた「予防」と「再発防止」を同一の枠組みの中で予防教育の構築が可能となる。また、集団やそれに所属する個人の特性を考慮に入れた介入が期待されることから、a)デートDV傾向をとらえるための項目、b)デートDV傾向に影響を与える要因を測定する項目を開発する。 上記の方針に基づき、DV傾向の尺度を項目反応理論により作成する。項目反応理論を適応することで、幅広い集団に適応する尺度を形成することが可能となる。処理された尺度は、デートDVの連続性の検討に使用され、大規模のサンプルを測定することで、デートDV傾向の分布の検証・確認が可能となる。さらには、デートDVと認知の歪み尺度などとの関連性が検討することで、その妥当性や集団や個人の特性を測定する手がかりとなる。 また、項目反応理論によるDV傾向の尺度及び他の心理尺度との関連を調査した結果を基に、予防教育プログラムを作成し,大学生等の若年層を対象に実施することで、予防教育プログラムの有用性について確認する。なお,予防教育プログラムのの実施については,研究参加者対して十分な説明を行い,同意を得た上で実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染拡大により、当研究に関する打ち合わせはオンライン会議となった。そのため、打ち合わせ会議のために予定していた旅費を使う機会がなかったため。
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