研究課題
基盤研究(C)
中性子による非弾性散乱実験では、「逆格子空間」にエネルギー軸を加えた動的構造因子が得られるが、このデータを「実空間」に変換することで有用な物性情報を取得するための解析手法(実空間ダイナミクス解析手法)の実現を目指して研究活動を進めた。具体的には、標準試料を用いた測定によるバックグラウンドの評価とその低減対策、高い位置分解能測定を目的としたT0チョッパー高速化、分子力学法を援用した逆モンテカルロ計算コードの改造等を行い、実空間ダイナミクス解析手法の実用化に向けた要素技術の確立に成功した。
中性子科学
実空間において局所的な乱れが存在する場合、逆格子空間を通じて局所乱れに起因する構造やダイナミクスを議論することはほぼ不可能である。したがって、本研究計画が目指してきた実空間ダイナミクス解析手法の確立は、局所ダイナミクスが新奇物性の発現のキーとなる先端的研究において不可欠の研究ツールをもたらすものであり、従来にない新たな視点での物性研究を開拓しうる。