研究課題/領域番号 |
19K12661
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
安井 重哉 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (80633908)
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研究分担者 |
伊藤 精英 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (90325895)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 触覚サイン / 触知記号 / ハプティックデザイン / ユニバーサルデザイン |
研究実績の概要 |
DiGITSとは、特定の方向を指し示す新たな触覚サインのコンセプトであり、指し示す方向に対してユーザの直感的な理解を促せることを特色としている。本研究の目的は、このDiGITSの基礎的な特性について基礎的な研究を深化させるとともに、DiGITSの社会実装に向けて開発を推進することである。 初年度である2019年度は、研究の第一段階と位置づけ、1)概念実証モデルの試作とその行動科学的評価、2)将来的な実用の幅を拡張するための実装方法、以上2点の検討を進めてきた。 1)については、概念実証モデルの試作では、主に行動科学的評価のための評価モデルとして適することを要件としたDiGITSを制作した(制作者の名前にちなみ「加藤式DiGITS」と命名)。その後、そのモデルを用いて、被験者に対して特定方向への誘導効果の検証実験を行い、実験環境においてはDiGITSが初見のユーザに対して優れた誘導効果を持つことを明らかにした。この評価内容についてまとめたものは第66回日本デザイン学会春季発表大会で口頭発表を行い、DiGITS全般についてまとめたものはデザイン学会作品集(現在印刷中)にも採択された。 2)については、可倒式フラップを用いたもの、揺動型ストッパーを用いた物など、様々な方式のDiGITSの試作を行った。また、ユースケース研究として、遊具に応用した「DiGITS組み合わせパズル」の試作品を制作した。これらの内容については、イノベーション・ジャパン2019での採択および出展や、第9回おおた研究・開発フェアへの出展などで、広く一般社会への研究成果の敷衍を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、1)概念実証モデルの試作とその行動科学的評価、2)将来的な実用の幅を拡張するための実装方法、以上2点を目標として研究を進めてきた。 1)については、目標を達成することができ、その結果、第66回日本デザイン学会春季発表大会での2件の口頭発表、およびデザイン学会作品集(現在印刷中)に1件の採択がなされた。 2)については、可倒式フラップを用いたもの、揺動型ストッパーを用いた物など、様々な方式のDiGITSの試作を行い、実装方法の拡張を行っている。また、遊具に応用した「DiGITS組み合わせパズル」の試作品を制作し、様々なユースケースへの対応も行っている。そして、これらの研究成果について広く一般社会への敷衍を図るために、イノベーション・ジャパン2019での採択および出展や、第9回おおた研究・開発フェアへの出展などがなされた。 以上により、研究の進捗状況は概ね順調であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、DiGITSという指向性触覚サインならではのデザインの方法論を確立すべく、1) 実用性探究、2) 有効性に関する指針確立、の両面から研究を推進する。具体的には、以下のプロセスで研究を進める。 1) 実用性探究:ケーススタディ(・ケーススタディとする用途の特定 ・その用途における他手法の触覚サインとの比較検証を通した、DiGITSの特性の確認 ・特性に基づくプロトタイピングを通した、その用途のDiGITSに要求される仕様の確立 ) 2) 有効性に関する指標確立:触覚印象評価・触運動の心理学的分析(・触覚印象評価に用いる実験標本の仕様策定 ・評価実験および触運動の心理学的分析)
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次年度使用額が生じた理由 |
効率的な執行を行った結果、使用計画と支出額に差額が生じた。残額は来年度に消耗品の購入に充当する。
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