研究課題/領域番号 |
19K12663
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研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
藤本 英子 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 教授 (60336724)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 駐輪場 / 観光拠点 / 景観 / サイクル拠点 / 自転車 / サイクルツーリズム / ナショナルサイクルルート / 京都市 |
研究実績の概要 |
研究予定の③調査について、コロナ禍のため国内の現状調査をさらに進めた。 ・現場調査実施(日本各地): 「観光拠点」の駐輪環境の最新現場を知るために、日本国内で認知度が高く、昨年度ナショナルサイクルルートに指定された「しまなみ海道サイクリングロード」の新たな動きと、その連続性を考えた時今後注目される「四国一周サイクリングロード」を選定し現場調査を行った。サイクルルートには、サイクリストなどが活用するサイクル拠点が指定されている。「しまなみ海道サイクリングロード」では、国の指定により、さらに宿泊施設および関連周辺サービス施設の充実が見られ、コロナ禍にも関わらず、高級志向の宿泊施設整備が進み、今後インバウンドの再開があれば、さらに良質な日本文化の発信拠点としての可能性を感じさせる地域づくりが進んでいた。また、「四国一周サイクリングロード」では、4つの県での温度差による、整備体制の差が大きくあるが、自転車以外の新たな乗り物の導入など、交通についてのチャレンジが、県を超えて行われている実態を見ることができた。今後はこの動きが、自転車環境整備での、県での連携の可能性を秘めていた。 ・分析(駐輪環境のあり方): 本年度調査をしたサイクルルートで、昨年度に引き続き、サイクル拠点における駐輪環境について、共通の課題を下記3つの視点で整理分析を行った。①駐輪場所のわかりやすさ。停めやすさ。②施設でのサイクリスト向けソフトサポートについて。③施設の設備、道具の設置およびその活用状況。 ・研究(駐輪環境の要素の抽出とデザイン分析): これまでの調査の分析をふまえて、観光拠点における景観配慮型駐輪環境において求められる要素を整理した。また、初年度観光客のまだ多かった時期に、京都市の観光拠点で行った、駐輪環境デザインについての課題分析から、求められる要素の方向性をさらに検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度も予定していた中で、④分析、⑤研究、までは進めたが、⑥作成まで進めることが叶わなかった。 研究の対象としている京都市の観光拠点が、コロナ禍において、少しずつ観光客の減少が回復はしているが、利用環境がこれまでと大きく異なった状況である。他事例の国内での調査は、コロナ禍ながら、実行することはできた。しかし引き続き、京都市内での現状変化が大きいことと共に、今後の観光環境の状況が読めないことから、研究対象となる現場の恒常的な状況設定ができない現状があるため、まだ予定していた実証実験の準備に進めない状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に対象となる京都市内の観光拠点における駐輪環境の調査を、観光客が多く利用する中で実施できた意義は大きかった。また、欧州での現場先進事例の調査も実施することができたため、理想とする未来像のイメージを、整理することができた。 しかし昨年度より、コロナが世界中で流行する中で、今後の観光客による観光拠点の将来像が見えない状況である。欧州においては道路環境を、車中心から公共交通と自転車活用に益々シフトしていく状況がさらに進んでいる状況にあり、今後の流れとしては日本でもその方向性を進める必要があると考える。研究とともに、自転車活用が全国でさらに進むために、国や地方自治体の政策へのアドバイスを含め、新たな動きを起こしていければと考える。 そして、今後コロナ後の社会における京都市の観光拠点においても、以前のような観光客数が回復した状況になれば、益々自転車利用が進み、景観に配慮した駐輪環境が求められることが想定される。今後この研究の重要性が高まると思われるが、コロナ後の社会への移行時期がまだ読めないために、この状況でも可能な研究をさらに踏み込んで進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今期コロナ禍のため、調査現場の状況が予定よりかなり変化したため、研究成果を社会実験に結びつけるための推進がはかれなかった。
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