研究課題/領域番号 |
19K12674
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研究機関 | 東亜大学 |
研究代表者 |
星加 民雄 東亜大学, 芸術学部, 客員教授 (10331068)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ラウンドアバウト交差点 / 作詞効果による速度抑制システム / ジグザグ形式イメージハンプ / 中央島スペース / 誘導サインシステム / 多義立体形式立体造形 |
研究実績の概要 |
本年度の研究では、全国のラウンドアバウト事例および海外の事例調査を継続して行う計画であったが、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、実施調査研究や会議、学会等での発表に大きな制約が設けられ研究遂行が滞る結果とになった。2019年に開催できなかった第14回 錯覚ワークショップ/明治大学の学会開催は、今年度は、何とかリモート形式による開催が可能となり3月に実施された。その講演要旨をもとに研究実績の概要をまとめた。 第15回 錯覚ワークショップー錯視原理の解明とその応用/明治大学(講演概要) 1.進入時における錯視効果による速抑制方法:ラウンドアバウト進入時への対応策としてジグザグ形式イメージハンプを活用する。施工が容易で視覚と音と衝撃の3つの要素で速度抑制効果を図るデザインである。音の静かなハイブリッド車や電気自動車に対する横断歩道時の聴覚障がい者への注意喚起にも効果的である。 2.ラウンドアバウト中央島(円形内)のシンボルサイン:交通工学的なハード面主体の日本のラウンドアバウト設置事例に対し、ヨーロッパ各地の設置事例は地域のシンボルとしての象徴的な形を立体化したものが多い。地域の景観美に大きく影響するラウンドアバウト交差点は、ランドマーク的シンボルとしての重要な役割を担っているため、芸術、景観デザインの視点に立ったアイディアを盛り込んだ学際領域による新たな研究開発が必要である。 本研究の成果発表では、各進入口からの印象付けを明確にする方法として、多視点による異なる印象を重複した多義立体表現(一つの立体造形物の中に複数の意味、要素が含まれる造形表現/特に交差点の位置を示す交差点名のイニシャル表示の組み合わせ)を中央島の立体造形物とした事例の提示、ならびに走行方向を誘導するサイン表示にとして視点移動に伴う視覚表現(LEDサイン表示も含む)が効果的であること等を含め40分の内容で解説した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大の影響で、予定していた日本のラウンドアバウト交差点の複数の調査研究ができなかったため、一部の研究が滞っており全体的な研究遂行状況は当初の計画通りではない。しかしラウンドアバウト交差点内の中央島立体造形物表現システムについては、具体的な模型の制作展開が順調に進み今後の方向性が見えてきた。今後、より具体的な調査研究をもとに実際の道路への施工に向けたデザイン提案および研究成果の発信等を積極的にして行く必要がある。また実現に向けたアプローチをコロナ禍に対応してリモート会議等で進めていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は新型コロナウィルス感染拡大の影響で、予定していた日本のラウンドアバウト交差点の複数の調査研究ができなかったため、本年度は新型コロナウィルス感染状況を見た上で、神奈川県、宮城県、長野県のラウンドアバウト交差点の調査研究を実施する計画である。神奈川県については国土交通省の許可申請を行った上で、ドローンによる上空からの撮影を実施する予定である。一方、長野県の調査研究では、特に軽井沢町に設置されている5差路のラウンドアバウト交差点について実測調査を行い、同時にフランス・パリのカルチェラタンに設置されている5差路(検証済み)との比較検証のもとで、これまでの本研究の研究成果であるアイディア展開とを関連付け、日本の設置事例の問題点を解決することを目的としたシミュレーション展開に結びつけていきたいと考えている。 本年度は最終年度であるため本研究の成果発表の場を以下に設けている。日時は10月15日から24。場所は島田美術館・ギャラリー(熊本)。内容は本研究の成果内容をポスター及び模型で展示した展覧会内容にシンポジウムを開催し、これまでの研究成果を広く国民、県民、市民に発信していきたいと考えている。 なお、論文発表としては芸術工学会での論文投稿ならびに第16回 錯覚ワークショップ/明治大学での論文発表を通し、研究成果を全国規模で発信していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大に伴い予定していた調査研究及び学会開催がリモート等になったため未使用の旅費がでてきたため。
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