| 研究課題/領域番号 |
19K12686
|
|---|
| 研究機関 | 長崎県立大学 |
|---|
研究代表者 |
片山 徹也 長崎県立大学, 情報システム学部, 教授 (00612805)
|
|---|
| 研究分担者 |
庄山 茂子 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (40259700)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
| キーワード | タッチパネル / 視覚特性 / 配色 / ボタン表示 / 文字色 / 背景色 / 印象評価 / ユーザビリティ |
|---|
| 研究実績の概要 |
近年、様々なタッチパネルが商業施設や医療機関等の公共空間に設置されている。加齢により色の見え方が変化した利用者や正常と異なる色覚特性を有する利用者は、画面配色によって読みにくさ等を感じることが考えられる。そこで、病院及び銀行ATMのタッチパネルに着目し、多様な利用者に望ましいボタン表示の配色を検討した。
病院の自動受付機タッチパネルのボタンについて、明度と彩度が異なる背景色（緑色相・青色相）と白文字を用いたサンプル画面を作成し、女性20名を対象に、若齢者と疑似高齢者（高齢者疑似眼鏡を装着した若齢者）の2条件で画面に対する印象評価実験を行った。その結果、若齢者群、疑似高齢者群ともに可読性とデザイン性の評価が高かった背景色は、中明度かつ中彩度の緑色相と中明度かつ高彩度の青色相であった。また、緑色相と青色相の背景色において、可読性とデザイン性の評価に有意な正の相関が認められた。背景色の色相によって読みやすさや印象の良さに違いがみられたことから、今後、赤色相の背景色についても検討する予定である。
次に、国内第一地方銀行のロゴカラーに多く使用されている黄みの赤を基調色として、ボタン内の文字色と背景色が異なるATMタッチパネルのサンプル画面を作成し、女子大学生20名を対象に、元画像と2型2色覚の色覚特性の見え方に加工した画像に対する印象評価実験を行った。その結果、ボタン内の文字色または背景色に白・黒の無彩色を用いた元画像は、加工画像より有意に「落ち着きがない」と評価された。黄みの赤を基調色とする場合、ボタン内の背景色に中明度から低明度の基調色、文字色に白に近い高明度を用いた配色は、正常3色覚と2型2色覚の人にとって読みやすく好ましい印象を与えることが示唆された。今後、公共空間のタッチパネルにおいて、利用者の年齢層や色覚特性に配慮した配色を用いることが求められる。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、タッチパネル画面の色彩に着目し、誰もが見やすく操作しやすい文字及びボタン表示の配色パターンを開発することで、公共空間におけるタッチパネルのユーザビリティを向上させることを目的とするものである。2019年度は、公共空間に設置されたタッチパネルの現況調査及び利用者の意識調査を行い、その調査結果を踏まえ、コンビニエンスストアの銀行ATM画面及び病院の自動受付機の画面に着目し、2020年度及び2021年度にボタン配色の異なるタッチパネル画面のサンプルを用いた被験者実験を行った。これらの分析結果について順次報告する予定であり、研究計画全体においておおむね順調に遂行していると判断できる。
|
| 今後の研究の推進方策 |
今後、銀行ＡＴＭや医療機関のタッチパネル画面を対象に、一般と異なる色覚特性を有する利用者及び加齢により色の見え方が変化した利用者に配慮したボタン表示に適した配色について研究結果を順次報告する予定である。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症拡大防止に伴う措置により実験及び研究活動の一部が遅延したため、2021年度中に調達できなかった機器や消耗品等について次年度使用額が生じた。次年度助成金により、これらの支出と併せて研究成果の発表及び報告等に伴う支出を予定している。
|
