研究課題/領域番号 |
19K12692
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
浅野 晃 関西大学, 総合情報学部, 教授 (60243987)
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研究分担者 |
岡嶋 克典 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (60377108)
浅野 千恵 (村木千恵) 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (00299174)
川澄 未来子 名城大学, 理工学部, 准教授 (20329840)
田中 宏和 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (40551388)
李 亮 立命館大学, 情報理工学部, 准教授 (00609836)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 感性 / 視覚 / 色彩 |
研究実績の概要 |
2019年度は,普遍的な「美しさ」の原理を得るための足がかりとなるアプローチとして,人の感性に沿うような現象や現象の変化の探索を,色彩と形状の2つの側面から行った。美術館での照明や文化財のデジタル化という,「美しさ」そのものを扱う場面において,美術品の色彩を適切に表現する照明の決定する分光画像処理の手法や,文化財をデジタルデータとして記録するために,レーザースキャンと写真とを合成して透過状態で記録する画像処理を行う手法を開発した。また,人の色彩への関心と色彩の範疇分けの細かさとの関係を調べ,色彩への関心が高く細やかな言葉で色を表現する人ほど,色彩の範疇を細かく分けることを見いだした。さらに,人の発達段階に関連した色彩感覚の研究を行い,発達段階による色彩への感性の違いの測定法を開発して分析を行った。これらを通じて,色彩に関する感性の本質を探った。 一方,図形の形状からのアプローチとして,文字配列のゆらぎと文字認識との関係を,同一の文字が配列されているところに紛れている似た文字を発見するテストを通じて調べることで,配列の変化・変動のパターンによる人間の感性への影響を調べ,人が大きな違和感を感じるゆらぎとそうでないゆらぎがあることを見いだした。また,繊維製品の美観を決定づける繊維材料のしわを対象として,しわの特性を画像処理によって分析する手法を開発した。これらの研究によって,普遍的な「美しさ」の原理に向かっての知見を蓄積した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在,色彩および形状の両面から,視覚的な「美しさ」の本質をさぐるアプローチを行っている。2019年度に実施した,未発表のものを含めた研究によって,さまざまな視覚的「美しさ」に関する知見が得られた。それらに共通する構造,とくに,視覚的対象の動的な変化に対する感性の特徴が見いだされつつあり,これらを当初の計画にあった定式化にあてはめていくことで,本研究課題を着実に進捗させることができる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,2019年度の研究で行った,色彩・形状を通じた視覚的な美しさの分析を行った結果をもとに,それらに共通する構造の定式化に注力する。とくに,さまざまに観察される「美しさ」と,研究計画にある「不安定から安定への変化」という意味での「解決」の構造との関係を記述することで定式化を行う。 また,当初計画では,2020年度は国際学会での成果発表や資料収集を行う予定であったが,COVID-19のために先行きは不透明になっている。状況によっては,他の方法での成果発表や資料収集を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に,現有設備および所属機関からの研究費で研究を進めることができたため,本補助金に次年度使用額が生じた。これと翌年度分の助成金とを合わせて,国際学会での成果発表および資料収集に用いる予定であったが,COVID-19の世界的流行のために先行きは不透明である。国際学会への参加ができない場合,論文執筆を優先し,投稿料および英文校閲にも支出することとする。
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備考 |
広島市立大学情報科学研究科医用情報科学専攻 田中宏和 https://www.hiroshima-cu.ac.jp/department/c00002162/zenki/c00002197/c00002202/
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