研究課題/領域番号 |
19K12698
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小川 明子 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (00351156)
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研究分担者 |
土屋 祐子 広島経済大学, メディアビジネス学部, 准教授 (80458942)
酒井 信 明治大学, 国際日本学部, 専任准教授 (90439232)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ジャーナリズム / コミュニティ・メディア / 財源 / インタビュー調査 / Constructive Journalism / オルタナティヴ・メディア |
研究実績の概要 |
Covid-19の影響で、予定していた海外調査研究ができなかったこと、オンライン授業の準備等で時間がかかったことから、当初計画していたペースよりも遅れている。しかしその状況下において、国内を中心に、1)既存マスメディアによって展開されているジャーナリズム関連活動のファンディング状況について、これまで一覧することが難しかった現状と変化についてまとめ、後述するような、Google News Showcaseの動向についても整理することができた他、新たな読者参加型ジャーナリズムとそのファンディングについての考察もまとめることができた。 2)オルタナティヴ・メディアのファンドレイジング、そして3)報道やジャーナリズム的活動を行なっているコミュニティメディアにおけるファンディング状況を中心に、インタビュー調査をzoomで行い、各メディアによる状況が大きく異なっていることが明らかになった。小さなメディアはそのオーナーや中心人物の影響を大きく受けがちで、一般化することが難しいことはかねてから指摘されていたが、今回もその傾向が明らかになったと言える。逆にいえば、地域性等を無視することはできないものの、そこからファンディングに成功しているケースを見つけ出すことができるように思われる。 4)海外におけるジャーナリズムとファンディングについての調査等をウェブと文献を中心に行った。英語圏のメディアなどで多様なファンディングが展開されている一方で、どれも決定打にはなっていない状況、さらには日本のメディアには応用が難しい現状が明らかになった。英国の新聞の初期のファンディングについても、18世紀にはすでに広告モデルが採用されていることが判明した。その一方、北欧などに新たなファンディングに基づくジャーナリズム活動がいくつか見えており、21年度以降は積極的に調査等に踏み込みたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Covid-19の影響が大きく、多様な状況を探るはずであった調査、とりわけ海外調査が十分できていないことが響いている。また日本のジャーナリズムが置かれている現状自体が、GAFA等海外企業、特にGoogle Showcaseの支援が注目される状況へと移行しており、動向について全般的に様子見が続いている。とはいえ、たとえGoogleが既存ジャーナリズム・メディアの支援を行うとしても、その金銭的な詳細は公開されないことが想定されるため、対象を少し絞り込み、海外企業の支援からより遠いことが想定される地域ジャーナリズムのファンディングに焦点を移していくことを考えている。
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今後の研究の推進方策 |
時限が近づいていること、Covid-19の影響が続いていることを踏まえ、今年度は二つの方向性に絞って研究活動を進めることにしたい。先にも述べたように、今後海外プラットフォーム企業の支援からより遠いことが想定される地域ジャーナリズムのファンディングに焦点を移す。さらに、次世代型ジャーナリズムのファンディングは、当初考えていた以上に、どのような「新しい」ジャーナリズムを目指すのか、とりわけどのようなステイクホルダーとの関連で展開されるのかといった根源的な内容と重なりを持って展開されていることが明らかになった。そこで、特に住民/読者参加型のジャーナリズムに焦点を当て、ハイパーローカル・メディアや建設的(Constructive)ジャーナリズムのファンディングに焦点を当てることとしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19下において出張ができなかったために繰越となっている。
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