全国の公共図書館の所蔵または貸出によって、新刊書籍の売上部数が低下するか否かをパネルデータを用いて検証した。分析の結果、図書館による新刊市場へのマイナスの影響が示された。しかし、その影響の程度は大きくはない。欠測値の補正を行った場合の分析結果は、文庫と新書のサンプル群では、所蔵一冊の増加につき-0.11%の、貸出一冊の増加につき-0.12%の売上の低下を示した。欠測値補正を行った一般書籍サンプル群の場合、所蔵一冊の増加につき-0.10%、貸出一冊の増加につき-0.10%、新刊の売上部数が低下した。しかしながら、補正した欠測値の数は多く、真の影響の程度については再検討の余地がある。
|