2022年度では本研究の目的である「専門図書館における連携・協力モデルを構築すること」を明らかにするために,次の4点の研究を進めた。第一に,2020年度に公共図書館と大学図書館を対象に実施した質問紙調査の回答機関のうち,聞き取り調査に協力可能な館で,かつ連携・協力に特徴的な状況が見られる8館(公共図書館4館,大学図書館4館)に対して,オンラインによる聞き取り調査を行った。質問紙からは読み取れなかったより詳細な連携・協力の状況を把握できた。 第二に,専門・公共・大学の各図書館を対象にこれまで実施した連携・協力に関する質問紙調査の結果を総合的に検討することで研究ノートを執筆・投稿し,図書館情報学領域の学術雑誌に掲載できた。 第三に,専門・公共・大学の各図書館を対象にこれまで実施した連携・協力に関する聞き取り調査の結果をもとに,質的調査の手法を用いて図書館員による職務遂行を通した専門図書館との連携・協力に関するプロセスの検討を進めることができた。 第四に,レファレンス協同データベース事業フォーラム(主催 国立国会図書館)において,専門図書館についてのスピーチを行った際,専門図書館と他館種(公共図書館・大学図書館)との連携・協力の実施状況と課題にも触れることにより,研究成果の普及に努めることができた。 これまでの研究成果をもとに,専門図書館と他館種との連携・協力のあり方を検討した結果,既存の図書館協会や図書館ネットワークを活用することで連携・協力が促進され,連携・協力モデルの一部となり得ることを提示できた。
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