研究課題/領域番号 |
19K12707
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
角田 裕之 鶴見大学, 文学部, 教授 (30454961)
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研究分担者 |
孫 媛 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (00249939)
西澤 正己 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (00281585)
天野 晃 国立情報学研究所, オープンサイエンス基盤研究センター, 特任研究員 (20622012)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | プレプリント / 学術情報流通 / 計量書誌学 / 査読 / 図書館情報学 |
研究実績の概要 |
最終年度となる令和4年度(2022年度)では、プレプリントでの研究成果共有が学術文献流通に与える影響を確認するため、医学生物学を主題とした未査読草稿を公開するbioRxivに投稿されたプレプリントについて調査・分析した。 COVID-19の流行時には、研究成果の迅速な共有という特徴がbioRxivプラットフォームに全面的に反映され、学者から大きな注目を集めた。bioRxivは現在242誌と提携しており、原稿ファイルとメタデータをbioRxivから直接送信することにより、ジャーナルや査読サービスに論文を提出する時間を短縮できると演説した。プレプリントが出版プロセスを変えているかどうかを確認するために、査読プロセスの期間をbioRxivとジャーナル論文の間で比較した。 本研究では、bioRxivが創設された2013年11月からCOVID-19のパンデミック宣言直後となる2020年2月にかけて、119の学術雑誌において、bioRxivから雑誌へ(B2J)、著者から雑誌へ(A2J)、論文の投稿と出版時間を調査した。その結果、33誌でB2J論文とA2J論文の期間時間に有意差があることが明らかになった。また、29誌においてB2J論文の方がA2J論文よりも早く出版されており、プレプリントプラットフォームでの共有が査読時間を短縮できることが示された。分析結果をより詳細に紹介し、プレプリントの機能と学術出版への基本的な影響について議論した。 研究期間全体を通じて、新たな研究成果を公開して共有するツールとしてプレプリントは有効に機能していることを示した。しかしながら、プレプリントで発表される文献の割合は低く、活用している研究者は一部であることが分かった。COVID-19のパンデミック宣言以降に研究成果がプレプリントで迅速に共有され、新たな学術情報流通の機能を補完する役割が期待されている。
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