本研究は、新約聖書のIIIFに準拠したデジタル写本データを活用し、伝統的な校訂本における異読情報が記載されたアパラトゥスでは読み取れない、文字の形状や連なり状態、ならびに近傍単語との関係性など写字の特徴を調査することを目的としている。 最終年度は、昨年度の成果物であるIIIF対応画像一括取得スクリプトを利用し、Jupyter notebook上で、取得後の写字の切り出し画像の確認、および、切り出し範囲の修正を行い、重点的に分析用画像データの整形に取り組んだ。また、写字生の特徴を調査することを目的として、シナイ写本でIIIF対応箇所(Leipzig大学図書館所蔵分)のうち、Codex Sinaiticus Projectにおいて写字生B1と識別されているQuire47(folio 1r)からQuire 49(folio 5r)の範囲の文字を、追加データを収集した。前年度の字形分析で使用したデータは、写字生Aと識別されている画像データであるため、今年度の取得データと合わせることで、異なる写字生による文字の形状の違いを調査する準備を整えることができた。
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