時間認知能力は健常高齢者だけではなく認知症患者でも低下することが知られている。病初期にアルツハイマー病(AD)では「時間の見当識障害」、前頭側頭型認知症(FTD)では「時刻表的行動」が特徴的にみられる。現れる症状のタイプは違うが、両者ともに「時間認知に関連した障害」としてとらえることができる。本研究は、AD、FTD患者の時間認知能力を検討することで、その認知的・脳的基盤に関する基礎的知見を得ることを目的とした。本研究から、認知症の原因疾患によって低下する時間情報の認知能力が異なる可能性が考えられた。また認知症者にとって課題意図が理解しやすい時間認知課題の作成をおこなった。
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