研究課題
基盤研究(C)
本研究課題では、ヒトおよびヒト以外の霊長類を対象として視点取得を支える身体知覚特性の比較研究をおこなった。第一に、他者身体の相互作用に対する知覚感受性についての比較研究をおこなった。第二に、他者身体と物体の相互作用についての知覚弁別特性を比較した。第三に、オマキザルを対象に、他者行為の視覚弁別の視点依存性について検討した。実験の結果、オマキザルの視知覚システムにヒトのそれと同様の社会的な空間配置に対する感受性がある一方、そのような統合的な社会的情報の知覚特性に種差も見られることが示唆された。
比較認知科学
他者の心的状態を推測する優れた社会認知能は言語と並んで「ヒトとはどのような動物か」という普遍的な問いへの答えの一端を担う重要な心的情報処理過程である。そのような社会的認知機能を支える社会的情報の知覚的特性について、ヒトとヒト以外の霊長類との間の共通性と相違の両方があることを示した本研究の結果は、高次の認知機能についてのヒトの固有性について考察する際、より低次の知覚情報処理を含めた認知情報処理システム全体を通じた近縁種との比較が重要であることを示唆している。