研究課題/領域番号 |
19K12742
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研究機関 | 福岡女学院大学 |
研究代表者 |
分部 利紘 福岡女学院大学, 人間関係学部, 講師 (50747772)
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研究分担者 |
綿村 英一郎 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (50732989)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 情動 / 恐怖 / 怖いもの見たさ / 回避 / 接近 |
研究実績の概要 |
2019年度は、身体生理反応に着目した研究と性格特性に着目した研究の2種を行った。 まず身体生理反応に着目した研究であるが、当初申請していた計画では2020年度に実施する予定であった。しかし諸々の準備や外部環境の変化等を考え、計画を前倒しして2019年度に実施する運びとなった。2019年度に行った具体的な研究内容は、以下の通りである。怖いもの見たさはその定義から「怖いが見たい」という感情となり、「対象に接近することで負の結果が生じうること(回避すべきこと)を理解していながらも、対象を見たい(接近したい)という衝動を抑制できない」という構造になっている。また、様々な先行研究から、負の結果の予期と衝動性の抑制には身体生理反応が関与している可能性が指摘されている。これらを踏まえて2019年度は、怖いもの見たさの生起機序として身体生理反応が介在している可能性を検証するための準備段階として、衝動性の代表的研究課題を用いて身体生理反応の役割を検証した。この結果は国際学会で発表され、またその研究を進めるうえで得た知見をもとに新書の一部を執筆した。 次に性格特性に着目した研究であるが、本研究は、怖いもの見たさが「将来の回避行動に向けた準備」として生起しているのか否かを検証するものである。2019年度は本仮説を性格特性の観点から検証するために、怖いもの見たさと防衛的悲観主義の強さならびに行動抑制系(BIS)の強さとの関係性を検証した。その際、「恐怖」には少なくとも「Fear」と「Horror」があり、いずれも怖いもの見たさを喚起し得ることから、それぞれの仮想的状況を設けたうえで喚起される怖いもの見たさを計測し、先の2つの性格特性との関連を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は身体生理反応との関わりを調べた研究および性格特性との関わりを調べた研究を行うことができた。一方で、業績については学会発表と新書のみに留まった。これらを相互すると、「おおむね順調に進展」が該当する。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は対面での実験を想定していたため、実験の実施が非常に難しい状況にある。そこで2020年度は、性格特性に関する研究を中心に位置づけ、Web調査を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
身体生理反応を計測する実験は準備が多く必要であること、また本研究に近い研究が他大学で行われていることが申請後に判明したため、当初2020年度に実施する予定であった研究を2019年度に前倒しして行った。この関係から、機材を購入する必要性が生じた。但し、2020年度の予定であった機材購入を2019年度に前倒ししただけであるため、研究全体には何ら変化はない。
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