研究課題
個体応答を理解し制御するには、生理学的に妥当な培養環境下で、ダイナミックな細胞動態や細胞応答を細胞非侵襲で連続観測する必要がある。本研究では主に、薬物の体内動態を制御する代謝臓器の一つである肝に着目し、ホルモンや薬物刺激に基づく糖代謝応答変化を、細胞非侵襲の電気化学的手法を通して血糖値を好気的環境下で連続観測することにより、従来の終点計測法では評価できなかったダイナミックな細胞動態や細胞応答を明確にすることを目標としている。本年度は、電気化学モニタリング部位と細胞培養部位を一体化させた評価デバイスの開発に主に取り組んだ。培養器の底面に電気化学センサを配備し、その電極の真上に細胞培養可能な膜型培養器を設置することで、細胞への直接酸素供給を可能とする培養モニタリングデバイスを開発した。これにより、これまで検討してきている糖代謝や糖新生を指標とした肝細胞応答を安定して評価できるものと期待される。一方で、細胞応答を多面的に評価するための新たなセンサ開発や、効率良く応答を収集するための電極の改良も並行して行った。代表例として、肝細胞から分泌され、肝機能の指標となるアルブミンを、標識物質を用いる間接法の酵素免疫分析法ではなく、直接的に検出するためのセンサ開発を試みた。ここでは、薄膜トランジスタ電極アレイ技術を用い、電極表面に吸着固定化されたアルブミンによって変化するインピーダンスの値から、アルブミンを直接検出できることを明らかにした。この検出手法を培養器底面に配備することで、細胞応答を多面的に評価できるものと期待される。
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Bioelectrochemistry
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