まず、従来の構造MRI(T1強調、T2強調画像等)のパラメータを参考に、これまでには画像化できていなかった基底核内部の微細構造を画像化できる新たな撮像パラメータを明らかにした。プロトン密度強調SPACE (sampling perfection with application of optimized contrasts using different flip angle evolutions) シークエンスによる画像において、脳基底核の淡蒼球とその周辺組織との間のコントラスト雑音比が向上した。このような画像を用いることにより、脳基底核のより正確な自動セグメンテーションを可能となる可能性を示した。 さらに、拡散強調画像に基づき、複数の基底核の領域内における拡散情報の特徴を組織ごとに明らかにした。この結果、淡蒼球と、淡蒼球を内節と外節にわける微細な組織である内側髄板との間に多軸撮像に対応した拡散情報であるFOD(fiber orientation distribution)の振幅の分布が統計的に異なることを示し、この情報を利用することによって拡散強調画像に基づき基底核の微細構造を特定できる可能性を示した。 加えて、従来の構造MRI(T1強調画像)を用いて、自動セグメンテーションの精度向上を目的として,dilated convolution や残差ブロック,グループ正規化といった深層学習の手法を用いた並列構造のニューラルネットワークを提案した。この手法を2つの公開データセットに適用した結果,従来の代表的手法よりセグメンテーション精度が向上することを示した。
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