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2021 年度 実施状況報告書

細胞の局所環境の観測・制御技術の開発および細胞走性評価への応用

研究課題

研究課題/領域番号 19K12757
研究機関大阪大学

研究代表者

福島 修一郎  大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40362644)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード細胞走性 / 腫瘍転移 / マイクロ流体デバイス / 非線形光学顕微鏡
研究実績の概要

本年度は,腫瘍転移初期に原発巣から離脱して遊走する細胞をモデル化した培養系を構築した.
腫瘍細胞が原発巣から血管内に移動して転移するときの移動を再現するために,ヒト骨肉腫由来細胞をコラーゲンゲルに内包する3次元培養環境をマイクロ流体デバイスに実装した.血管への移行性を実現するうえで重要な環境要因と考えられる酸素濃度の影響を検討するため,デバイス内で1方向に酸素濃度勾配をつけて細胞遊走を顕微鏡下で追跡した.均一な酸素濃度分布の場合と比較すると最終的な細胞の高酸素側に移動する傾向が見られたが,その経路は最短距離ではなく,一時的には低酸素側にも移動する複雑なものだった.
細胞が単純な移動経路をとらない要因として,コラーゲンゲルの構造の不均一性が考えられる.そこで,細胞移動過程での周囲のコラーゲン線維の構造変化を第2高調波発生光(SHG光)を用いて可視化した.SHG光強度は焦点内のコラーゲン分子の量と配向度に依存するため,ゲルの剛性と正の相関をもつと仮定できる.細胞周囲のコラーゲン線維の網目構造の大きさは細胞対して小さいので,細胞が移動するときにはコラーゲン線維を分解したり押しのけたりする必要がある.つまりSHG光強度が高いゲルの部分は細胞の障壁が大きいと考えられる.また,SHG画像から,コラーゲン線維の分解(SHG光強度の低下)や,線維移動量(変形場)を定量的に解析できる.細胞移動過程の観測結果からは,細胞移動の前方は低SHG光強度部分となる場合が多かった.また,細胞が仮足を伸ばす前にその領域のSHG光強度が低下する様子も観測されており,コラーゲンの分解にも異方性があることが確認できた.
マイクロ流体デバイスと非線形光学顕微鏡を用いた細胞遊走の観測は,細胞と細胞外基質の相互作用を検討するうえで有用であることが確認できた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

顕微鏡光源のレーザーの変更により,装置の大幅な変更が必要となったため

今後の研究の推進方策

昨年度開発した傾斜構造基質を用いて基質剛性が細胞遊走にどのように影響するかを検討する.さらに酸素環境と合わせた複合環境での指向性実現の機構を解明するために,接着斑やコラーゲン分解酵素の分布の不均一性などの細胞の生化学反応と合わせて解析する.

次年度使用額が生じた理由

仕様変更した顕微鏡開発に必要な機材調達費および研究成果報告費に使用する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 細胞による細胞外基質の変形の定量評価2021

    • 著者名/発表者名
      東 晴斗, 福島 修一郎, 松井 翼, 松永 大樹, 出口 真次
    • 学会等名
      日本機械学会2021年度年次大会

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公開日: 2022-12-28  

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