研究実績の概要 |
2020年度は、2019年度に実施した14N tempol, 15N CxP, CoQ0の3種類のラジカルプローブを用いたDNP-MRIでの画像化状況、それぞれのプロ-ブのラジカル減衰速度の安定性、マウス組織へのダメ-ジ等を考慮した結果、特に安定的で感度が高くマウス組織への影響がない、14N tempol, 15N CxPの2種類に絞ったミックスプロ-ブでのDNP-MRIでの生体計測に変更した。皮膚炎重症度別に、14N tempol, 15N CxPのミックスプロ-ブを用いて、DNP-MRI生体計測データを取得した。そのエビデンスとなる皮膚組織のin vitroデータとしては、EPR装置を用いてラジカルスペクトル測定法により、皮膚組織ホモジネ-トと反応させたプロ-ブラジカル減衰速度の測定、皮膚表皮組織、真皮組織のボリュ-ム測定、炎症へのマクロファ-ジ、好中球の関与程度をペルオキシダ-ゼ活性測定などのデータを取得した。またこれらデータと、DNP-MRI生体計測データを統合的な解析を行った。アトピ-性皮膚炎の重症度スコア別に評価したDNP-MRIで生体計測では、ミックスプロ-ブの解析から、14N tempol, 15N CxPともそれぞれ一定のスコア以上での皮膚炎モデルにおけるプロ-ブラジカル減衰速度の上昇がみられた。しかしin vitroでの皮膚組織ホモジネ-トとプロ-ブの反応では、15N CxPのプロ-ブラジカル減衰速度の上昇はみられない事から、DNP-MRI生体計測における15N CxPのプロ-ブラジカル減衰速度の上昇は、炎症性血管透過性の亢進の指標となっていると推測された。その他、皮膚炎組織での表皮層や真皮層のボリュ-ム上昇と皮膚組織中のアスコルビン酸濃度上昇が、DNP-MRI生体計測での14N tempolのプロ-ブラジカル減衰速度上昇と相関していた。
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