研究課題/領域番号 |
19K12777
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
浅野 豪文 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (30552476)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 骨格筋分化 / 細胞融合 / 細胞内カルシウム / 光遺伝学 |
研究実績の概要 |
本研究は骨格筋をモデルとして細胞活動依存的な組織の形成や再生の分子基盤を明らかにすることを目的とする。骨格筋は外傷や肉離れ、過度の負荷などによって損傷しても速やかに回復することのできる、再生能力に富んだ組織である。損傷を受けると、骨格筋の幹細胞である筋衛星細胞が活性化され増殖し、筋芽細胞へと分化する。単核の筋芽細胞は互いに融合することで多核の合胞体である筋管細胞が誘導される。この筋損傷修復過程には多くの分子が関与しているが、筋芽細胞同士の細胞融合における分子機構やその調節機構に関しては未だ不明な点が多い。 本年度は昨年度までに構築したCre-loxPシステムを用いた筋芽細胞融合評価を行った。部位特異的組換え酵素 Cre の標的配列 loxP をEYFP蛍光タグを賦与したChannelrhodopsin(ChR)両側に、下流にRFPを配した筋芽細胞(ChR-EYFP-RFP)と Cre-BFPを発現する筋芽細胞(Cre-BFP)の安定発現株をそれぞれ作製し、発現量と分化能を確認して適切なクローンを樹立した。光応答性イオンチャネルであるChRを遺伝子導入した細胞に青色光(470 nm)を照射すると、照射光に完全に同期した膜電位変化が引き起こされる。得られた両細胞株を共培養し筋分化を誘導すると多核の筋管細胞が形成されることが確認でき、さらに細胞融合によりChR-EGFPが消失してRFP蛍光が検出された。筋芽細胞の融合前後において細胞内カルシウムが関わっていることが示唆されていることから、筋分化誘導後に光照射による刺激を与えた。刺激細胞群では非刺激群と比較するとRFP陽性細胞の出現率が上昇していることが認められた。また細胞融合に関与する筋分化制御因子を定量PCRにより調べたところ、いくつかの遺伝子群の発現亢進や時間的な発現パターンに変化が見られることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究計画の通り、構築した評価系により細胞融合の解析を進めることができている。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度は細胞内カルシウムの時間的、量的な変化に対する筋芽細胞融合を解析する。また調節される発現遺伝子群および形成される筋管細胞機能についても調べる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
計画していた通りに使用したが、参加した学会がオンライン開催となったため旅費の未使用分が生じた。翌年度分と合わせて消耗品の購入費用にあてる。
|