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2019 年度 実施状況報告書

膵臓癌患者の生命予後・QOL向上を目指すセラノスティックス粒子の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K12783
研究機関帝京大学

研究代表者

西尾 忠  帝京大学, 医学部, 講師 (80401892)

研究分担者 中村 教泰  山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10314858) [辞退]
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードがん細胞 / 蛍光イメージング / フローサイトメトリー / アミノ酸 / ナノ粒子
研究実績の概要

本年度は主に、ナノ粒子の表面機能化及び実験動物投与時における臓器分布に関する基礎的検討を行った。前者では、蛍光性ナノ粒子表面に存在するチオール基を足場として、約20種類の生体アミノ酸 (L-, D-体含む) をマレイミド誘導体を介した活性エステル化法を用いて結合させた。これらアミノ酸修飾蛍光性ナノ粒子はそれぞれ表面電位及び粒形を測定し、均質なも粒子であることを確認した。次に作成した粒子の細胞適合性を確認するため、各種がん細胞 (膵臓癌、肝細胞癌、乳癌、子宮頸癌、骨肉腫など) を用いてその取込み能を、蛍光イメージング及びフローサイトメトリーにより定量的に評価した。アミノ酸側鎖の構造により細胞取込み能は大きく変化し、特にトリプトファンを用いた場合では、90%以上の細胞で取込が見られたほか、1細胞当たりの蛍光量も他のアミノ酸を用いた場合と比較して非常に高い結果が得られた。共焦点レーザー顕微鏡を用いた3D観察においても3D粒子が細胞内に存在していることを確認した。また、がん細胞の種類について取込能は大きく異なり骨肉腫細胞ではアミノンの種類に依存せず全ての種類のナノ粒子を90%以上取込んだ。後者については、蛍光性ナノ粒子を子宮頸癌細胞に取込ませ、この細胞懸濁液をマウスに投与し、24時間後又は1週間後にに6種類の臓器(脳、心臓、肺、肝臓、脾臓及び腎臓) を摘出し、組織標本を作製して蛍光顕微鏡で臓器分布を調べた。この結果、肺、肝臓及び脾臓において粒子含有細胞が特に集積していることを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的ははがん細胞に対する効果的なセラノスティックス材料の開発であるが、今年度はナノ粒子の多官能基化ならびに培養細胞及び実験動物を用いた動態研究までを行った。ある種のアミノ酸を粒子表面に修飾することで細胞親和性が無修飾の場合又は他のアミノ酸を用いた場合と比較して劇的に向上することを発見した。また蛍光性粒投与子後の培養細胞及び実験動物は非投与の場合と比べて明らかな毒性は特にみられなかった。以上の知見は今後の研究に有用なものであり、順調に進行していると考えた。

今後の研究の推進方策

今後は、がん細胞の粒子取込みにおけるアミノ酸特異性に関与していると考えられるアミノ酸トランスポーターの関与について、その取込み機構を詳細に研究し、よりがん細胞への取込選択性の高い表面修飾分子を特定する。また、がんの浸潤、転移はがん患者のQOLを大きく損ねることから、細胞移動の制御に関与する生体内分子を標的とした研究を進める。

次年度使用額が生じた理由

必要な研究関連物品を購入し、2028円の繰越が生じたが使用金額はほぼ計画通りであった。繰越金は次年度の研究費に充てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Relationship between the glutathione-responsive degradability of thiol-organosilica nanoparticles and the chemical structures2019

    • 著者名/発表者名
      Tomohiro Doura, Tadashi Nishio, Fuyuhiko Tamanoi, Michihiro Nakamura
    • 雑誌名

      Journal of Materials Research

      巻: 34 ページ: 1266-1278

    • DOI

      https://doi.org/10.1557/jmr.2018.501

    • 査読あり

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公開日: 2021-01-27  

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