研究課題/領域番号 |
19K12784
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
鈴木 秀宣 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 助教 (50546710)
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研究分担者 |
仁木 登 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 非常勤講師 (80116847)
河田 佳樹 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (70274264)
井本 逸勢 愛知県がんセンター(研究所), 分子遺伝学分野, 分野長 (30258610)
楠本 昌彦 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (90252767)
中野 恭幸 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00362377)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 慢性閉塞性肺疾患 / 長期経年低線量CT画像 / 遺伝子 |
研究実績の概要 |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は2030年に世界の死因第3位になると報告されている。COPDの発症感受性遺伝子の候補が同定されつつある。本研究課題は世界に類のない重喫煙者の長期の経年低線量CT画像・臨床情報データベースを用いて肺気腫の長期にわたる進展を定量的に評価する手法を開発し、肺気腫の高進展リスク群を層別化する。これらを用いてCOPD関連遺伝子候補の中から肺気腫の進展に関与する遺伝子群の候補を同定する。進展に関与する遺伝子群を活用して超早期肺気腫の検診を可能にする。研究項目は(1)長期の経年低線量CT画像・臨床・遺伝子情報データベースの構築、(2)長期経年低線量CT画像・臨床情報を用いた肺気腫の高進展リスク群の層別化、(3)肺気腫の進展に関与する遺伝子群の同定である。本年度はこれらを実施し、COPD関連遺伝子候補(76論文、217種類の一塩基多型(SNP))の中から肺気腫の進展に関与する2種類のSNPを同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東京都予防医学協会の協力を得て喫煙者・過去喫煙者・非喫煙者のCT検診画像(管電圧120kV、管電流15mAs、スライス厚1mm/2mm、再構成間隔1mm、画素サイズ0.625mm)・臨床情報(年齢、性別、Pack-year、禁煙歴)を長期(2002年から2020年)にわたって蓄積している。COPD関連遺伝子候補(76論文、217種類のSNP)の中から文献の被引用数・日本人のアレル頻度・連鎖不平衡に基づいて55種類のSNPを選出した。この中から12種類のSNPをタイピングした。その結果、重喫煙者の肺気腫の進展に関与する2種類のSNPの候補を同定した(rs13180 (p-value=0.03、odds ratio=3.49)、rs3923564 (p-value=0.02、odds ratio=0.29))。
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今後の研究の推進方策 |
研究項目(1)長期の経年低線量CT画像・臨床・遺伝子情報データベースの構築、(2)長期経年低線量CT画像・臨床情報を用いた肺気腫の高進展リスク群の層別化、(3)肺気腫の進展に関与する遺伝子群の同定を推進する。研究項目(2)の課題は、(a)呼吸運動による臓器形態・病態の変動、(b)撮影条件の変動 (スライス厚1mm/2mm)である。課題解決し、より長期間の肺気腫の進展の定量化を目指す。研究項目(3)について、COPD関連遺伝子検体数とタイピング対象SNPを増やし、喫煙者・過去喫煙者・非喫煙者の肺気腫の長期にわたる進展に関与する遺伝子群の候補を同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の予算では、新たにSNPをタイピングするための試薬一式の費用をその他経費に計上していた。本年度の最新のCOPD関連遺伝子解析研究の報告を探索して研究分担者と協議した。SNPを慎重に選定することとし、これを翌年度予算に組み入れた。
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