研究課題/領域番号 |
19K12790
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
宋 成浩 獨協医科大学, 医学部, 教授 (30206669)
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研究分担者 |
中山 哲成 獨協医科大学, 医学部, 講師 (40816112)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 排尿機能 / MRI / シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究では、高解像画像解析を用いて膀胱機能の新たな評価方法を開発することを目的とした。具体的には、1.5テスラのMRI画像診断装置を用いて、排尿時の膀胱内の流体運動や排尿収縮筋の動きを観察し、膀胱内圧の分布や膀胱形態の変化を計測した。また、CT画像による尿路3次元モデルを利用して、仮想内視鏡技術や尿路病変の評価方法についても検討した。 本研究の成果は以下の通りである。 ①排尿時の膀胱内の流体運動について、58%の被験者に一定の回転運動が認められた。この運動は腹側から時計回転で起こり、排尿収縮筋、膀胱形態、腹圧の3つの要素が関係していると考えられた。②排尿収縮筋の動きについて、膀胱頚部から膀胱重心までの6点に直線を引き、その長さの変化を測定した。その結果、直線の変化量は長軸方向が最も大きく、変化のタイミングは腹側が最も早く、背側が最も遅かった。③膀胱内圧の分布について、膀胱頚部、膀胱腹側部、膀胱背部の3点で測定した。その結果、膀胱内圧は膀胱頚部で最も低く、膀胱腹側部で最も高かった。これは排尿収縮筋の動きと一致しており、排尿収縮筋が膀胱内圧に影響を与えていることが示唆された。④膀胱形態の4次元モデルについては、従来の方法では問題点があったため、新たな作成方法を開発中である。 尿路3次元モデルを利用した仮想内視鏡技術や尿路病変の評価方法については、先行研究で開発した技術を応用し、精度や効率性を向上させることを目指した。 本研究は、高解像画像解析が新たな膀胱機能評価方法として有効であることを示した。今後は、より多くの被験者や臨床例に対して検証を行い、引き続き排尿機能の生体シミュレーションや診断支援システムへの応用を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
膀胱形態の4次元モデルの作成については、従来の方法に問題点が確認されたため、新たな作成方法について検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト下部尿路の人工モデルの作成により排尿シミュレーションを行い、CFDでの検証結果と比較できないか検討している。さらに、可塑性樹脂による人下部尿路 モデルの作成により、排尿シミュレーションを実施することを検討している。 また、画像作成ソフトウエアの変更により4次元モデルの作成が可能か検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
シミュレーションモデルの開発費を計上しているが、モデルの作成計画に遅延が生じている。今後樹脂によるモデルの作成からシミュレーションを行い、我々の仮説が正しいか検証を行う予定である。
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