研究課題/領域番号 |
19K12815
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
安永 茉由 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (70712181)
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研究分担者 |
廣瀬 志弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (80415736)
伊藤 敦夫 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (30356480)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脂肪由来間葉系幹細胞 / 細胞接着 / 骨分化 / 脂肪分化 / ジルコニア |
研究実績の概要 |
ラット骨髄由来間葉系幹細胞の初期接着面積と分化誘導後の分化度が反比例するという現象について、論文発表した(Hashimoto, Yasunaga(CA) et al., Biochem Biophys Res Commun.2020)。 脂肪由来間葉系幹細胞の初期細胞接着面積および骨分化能を評価した。結果、ナノ周期構造を施したジルコニア上で初期細胞接着面積は減少することを明らかにした。一方、細胞内アルカリフォスファターゼ活性および培養液中のオステオカルシン分泌量の定量、アリザリンレッド染色を実施したが、骨分化能の顕著な増加は観察できなかった。脂肪由来間葉系幹細胞は骨髄由来間葉系幹細胞と比較して、骨分化能が低いことが知られていた。そこで脂肪由来間葉系幹細胞の骨分化条件の最適化を実施した。細胞播種数、分化誘導因子(デキサメタゾン、βグリセロリン酸、アスコルビン酸)の濃度等を変更したが、顕著な変化は観察されなかった。 脂肪由来間葉系幹細胞の脂肪分化能の評価系構築を行った。分化誘導2週間後には細胞形態の変化が見られ、Oil Red O染色陽性細胞が観察された。Oil Red O染色後の細胞を用いて、色素を溶出し定量化を試みたが、再現性の良い結果は得られなかった。そこで染色法をLipid Droplet Assayに変更し、現在、画像解析による定量化法を構築している。その他、qPCRによるPparg、Adipoq、Ppara遺伝子発現量の定量による分化能評価を試みた。結果、分化誘導2週間後の細胞ではPparg、Adipoqの顕著な増加が観察され、評価可能であることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨髄由来間葉系幹細胞については論文発表を行い、脂肪由来間葉系幹細胞については予定通り初期細胞接着面積の測定、骨分化評価が終了した。また脂肪分化評価系の構築も完了した。以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、以下の項目について研究を推進する。 ・脂肪由来間葉系幹細胞における脂肪分化誘導条件の最適化 ・脂肪由来間葉系幹細胞における初期細胞接着面積と脂肪分化能の関係性 ・ヒト骨髄由来間葉系幹細胞の骨分化誘導系の構築 ・ヒト神経幹細胞のアストロサイト分化誘導系の構築
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次年度使用額が生じた理由 |
生体材料であるジルコニアは再焼結することで再利用が可能であることが確認できた。そのため予定していた材料費を削減することができた。しかし、qPCRの分化能評価を行うためには材料を大きくする必要が生じた。また数種類の幹細胞実験を並行して進めるために材料を増やす必要が生じた。これらの用途で翌年度、使用する予定である。
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