研究課題/領域番号 |
19K12815
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
安永 茉由 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (70712181)
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研究分担者 |
廣瀬 志弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (80415736)
伊藤 敦夫 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (30356480)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 細胞接着 / 骨分化 / ジルコニア |
研究実績の概要 |
これまでにラット由来間葉系幹細胞において、細胞接着面積およびその骨分化レベルに逆相関性を有することを明らかにした。当該現象はヒト由来間葉系幹細胞においても見られるのか確認するため、骨髄由来間葉系幹細胞および脂肪由来間葉系幹細胞を入手した。各種細胞株における骨分化能を確認した後、表面構造を有するジルコニアを用いて、細胞接着面積およびその骨分化レベルを解析した。ヒト由来間葉系幹細胞はラット由来間葉系幹細胞と比較して、ジルコニア上で剥がれやすく、骨分化誘導のための1ヶ月間の長期培養が困難であることが明らかとなった。そこで細胞が剥がれる直前までの培養で骨分化能レベルを評価することとし、現在、遺伝子発現解析による評価を進めている。一方、細胞接着面積への影響については、生細胞染色や細胞骨格染色による画像解析を進めているところである。 骨は中胚葉由来であるため、外肺葉由来である神経への分化においても同様の現象が見られるのか確認する必要があった。入手したヒト神経幹細胞のニューロン分化能とアストロサイト分化能を確認した後、表面構造を有するジルコニアを用いて、細胞接着面積およびそのアストロサイト分化レベルを解析した。結果、前述の現象と完全に一致する結果は得られなかった。現在、ニューロン分化における影響について解析を進めている。 低接着細胞で発現変動する遺伝子の網羅的解析の準備を進めている。結果が得られ次第、関連遺伝子の発現解析を実施し、関連するシグナルパスウェイを抽出する予定である。またパスウェイの抽出には、当該現象を誘導する表面構造を有するジルコニア以外の材料を用いることが必要であると考えた。現在、当該現象を誘導する水酸アパタイト材料の作出にも着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラット脂肪由来間葉系幹細胞を用いた当該現象の検証については、論文投稿準備中である。一方、外注先の事情で予定していた遺伝子発現の網羅的解析が完了しなかったため、その点については予定より遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、以下の項目について研究を推進する。 ・ヒト由来間葉系幹細胞の細胞接着面積と骨分化レベルの関係性についての解析 ・ヒト由来神経幹細胞の初期細胞接着面積とアストロサイト分化レベルの関係性についての解析 ・低接着細胞で発現変動する遺伝子の網羅的解析 ・低接着性の水酸アパタイト材料の作出
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次年度使用額が生じた理由 |
外注先の事情で予定していた遺伝子発現の網羅的解析が完了しなかった。繰り越した予算は予定通り当該実験に使用する予定である。
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