2019年末より約3年続くCOVID-19流行のため、2022年度も呼気ガスの採取および測定施設への搬送、分析は困難であった。そのため、呼気ガス以外の項目で、COPD患者の2年間の観察期間における増悪因子について検討した。非高齢COPD患者(75歳未満)が肺気腫の割合や疾患重症度との関連が強かったこと比較して、高齢COPD患者(75歳以上)では疾患重症度や肺気腫の程度よりも、自覚症状(CATスコア)や栄養指標(Prognostic Nutritional Index:PNI)と増悪との関連が強くみられた。超高齢社会においては、疾患の重症度だけではなく、自覚症状や栄養状態なども加味してより包括的な診療を行っていく必要があると考えられた。 また、COPD患者において、胸部cineMRI画像を用いて胸部の動態解析および定量解析を平行して行った。動態解析ソフトを実装し、自由呼吸下において、胸郭運動の制限を連続的に定量化し、閉塞性換気障害や残気量の程度との関連を示した。これらの結果は、現在の呼吸機能検査により行われるCOPDの有無や重症度診断では評価が難しい病型分類や、COPDの新しい評価方法につながる可能性があると考える、 補助期間終了後、呼気ガスから得られる所見と、胸部単純CTや胸部MRIなどの画像解析手法を用いた肺の形態変化測定、呼吸機能検査で得られる疾患重症度を合わせ、疾患増悪との関連について再開予定である。
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