研究課題/領域番号 |
19K12823
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
惠木 浩之 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (20403537)
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研究分担者 |
栗田 雄一 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (80403591)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 内視鏡外科 / ロボット外科 / AI |
研究実績の概要 |
内視鏡外科手術は低侵襲治療として広く受け入れられ、もはや標準的治療といっても過言ではない。さらにロボット支援手術も治療適応が拡大され、急速に手術件数は増加している。一方で安全性の管理は術者の技術向上に依存している傾向が強く、安全な手術環境を整えることは重要な課題と考えている。 我々は、医工心理学連携による独自の新規デバイスや教育法を開発することで、安全な内視鏡外科手術を行う環境づくりに取り組んできた。新規デバイスや教育法の評価には、正確な技術力評価とその解析が必要で、2004年には内視鏡外科手術技術力評価システムHUESAD (Hiroshima University Endoscopic Surgical Assessment Device)を独自に開発しその評価システムとしての妥当性 (Validity) を証明してきた。 さて、内視鏡外科手術の最大の利点は拡大視効果であり、精緻な手術を行う条件を得ることができる。一方で、死角の存在、触覚の低下、が欠点であり、これらを克服するための研究に特に力を入れて取り組んできた。 本研究ではさらに踏み込んで、他プロジェクトで既にコンセプトは特許出願済の没入型カメラを画像処理後に3Dヘッドマウントデイスプレイ(HMD)に投影する技術と、同じく既に開発済のセンシング技術(力覚提示システム) を応用することで安全な内視鏡外科手術に貢献することを目的とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
没入型カメラを応用(センシング技術含め)することで内視鏡外科手術をより安全に行える環境創りを目指して研究を開始。没入型カメラの応用に関しては、すでに画像処理後に3Dヘッドマウントデイスプレイ(HMD)に投影する技術は確立している。この技術の臨床応用に向けた取り組みに関する論文が受理された ( Minim Invasive Ther Allied Technol. 2020 Dec 3:1-8. Mukai S, Egi H, et al.)。 センシング技術に関しては、単純な動きに対しては可能な段階まで来ているが、実際の手術に即した複雑な動きに対する正確なセンシング(力覚提示)技術の確立は残された研究期間では現実的でなく、それに代替する別の技術を応用するよう計画変更する予定。具体的には、日本学術振興会科学研究費補助金研究活動スタート支援 「安全な内視鏡外科手術を目指したマルチカメラ・モニタリングシステムの開発」(2010年-2011年度)の研究成果を用いる。「超小型監視カメラBirdView」が完成し、本年度薬事申請から製品化の予定である。センシング技術の代わりに第2の目で安全性を担保しながら、没入感を得た拡大視効果を最大限活用できる環境作りを進めて行きたい。
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今後の研究の推進方策 |
3年目は、没入型カメラの実用化に向けた活動を進めながら、製品化される「超小型監視カメラBirdView」を応用することで安全性の検証を進めて行きたい。 昨年度より始めている、新規技術評価システムとしての「AIを用いたMulti Validation systemの構築」を同時に進めていき、安全性の向上に寄与できる可能性を追求していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
<理由>没入型カメラの改良が必要で、実臨床化を視野に入れた場合の評価(動物実験や基礎的データ取得、画像処理等)に費用が必要と考え、次年度に繰り越しました。 <使用計画>没入型カメラの改良、実臨床化を視野に入れた場合の評価(動物実験や基礎的データ取得、画像処理、評価システムの改良等)の諸費用に使用する予定です。
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