研究課題/領域番号 |
19K12825
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
弘田 隆省 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (10437741)
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研究分担者 |
山崎 文靖 高知大学, 医学部附属病院, 特任教授 (10243841)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 人工圧受容器反射系 / 深部脳刺激 / 起立性低血圧 / パーキンソン病 / 生体制御・治療 |
研究実績の概要 |
これまでわれわれは、重度起立性低血圧治療のため、硬膜外カテーテルを用いた人工圧反射装置を開発してきた。これを発展させ、交感神経路のより上位中枢を電気刺激できないかを検討したところ、パーキンソン病治療における深部脳刺激法を用いた方法を着想し、人工血管運動中枢を設計した。この研究中に、症例によって刺激から血圧への反応に違いが認められた。原因は不明であるが、視床下核内の刺激電極の位置の違いによることが推測された。この刺激に効果的な位置を特定できれば、より効率的なシステムを構築することができる。今回、核内刺激部位の違いによる血圧の応答性を評価し、より効率的な人工圧受容器反射システムを設計する。3年間の実験的臨床研究により、1) 脳刺激から血圧への反応性と刺激部位の対比、2) 刺激効率の良い部位でのデータより人工圧受容器反射システムを設計、を到達目標とする。 H31(R1)年度はDBS電極先端部の視床下核内の位置を脳内で確定するため、手術時に用いた前交連-後交連の中点を基準として前後方向、横方向、上下方向の距離を計測し、電極先端位置を評価することとした。 R2年度は、R1年度に行った基準点を用いる方法で計測を開始したが、格納されたMRI画像上では上記の計測が困難なため、側方距離をAC-PCラインからの距離(mm)、垂直方向距離を中脳水道からの距離(mm)、前後方向の距離を橋前面からの距離(mm)とし、血圧への応答性を解析した14例で評価した。応答ありvs. なしでの計測値は、それぞれ、13.73±2.28 vs.11.54±1.47、14.47±2.89 vs.13.18±088、9.34±0.93 vs.8.33±2.36であり、応答のある症例での電極位置は、より側方で、深く、後方である傾向を認めた。また、挿入部位を電気的に検討するために、術中電極挿入時の電気活動記録を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
起立負荷症例のMRIデータの取得、解析が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
①R2年度の計測値を脳全体の大きさで補正し検討する。また、MRI画像の解析に加え、術中電極挿入時の電気活動データをもとに電極先端の位置を検討し、血圧に対する刺激効率の良い部位を評価する。 ②DBS on-offで立位負荷テストを評価した患者のMRIでも同様の検討を行う。上記での解析を参考にMRI所見、術中電極挿入時の電気活動状態とDBS on-offでの血圧低下反応と対比する。On-offでの検討をした症例では、ランダム刺激の症例と異なり視床下核内での電極の刺激状態が異なっているため、治療中の設定を参考に、電極内の刺激部位、電圧(~5V)、パルス幅(~110μsec)、刺激周波数(~190Hz)もあわせて検討する。 ③上記のデータより効率的な人工圧受容器反射システムを設計する。 ④現在までの検討では、DBSから血圧応答がみられる症例のステップ応答関数における平均定常ゲインは0.015±0.013 mmHg/Hzと小さい。よって、下半身を圧迫することにより血圧を軽度上昇させたうえで制御する方法を検討する。 研究分担者・山崎文靖医師(循環器内科)のほか、研究協力者として佐藤隆幸医師(循環制御学)、森田ゆかり医師(神経内科)、清家真人医師(いずみの病院、脳神経外科)、豊永晋一医師(土佐市民病院、脳神経外科)が参加する。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析ソフトウェアの購入を遅らせたことによる。 消耗品費として、データ保存用メディア、液性因子の解析費用を計上する。旅費は国内での学会発表に用いる。謝金費として、前年と同様、研究補助員を1名確保するための経費を計上する。その他として、成果発表用の印刷費を計上する。
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