本研究では超音波フレキシブルプローブを用いて、①生体模擬ファントムから取得したエコー情報を元にプローブの形状を推定する。次に、得られたエコーとプローブ形状の情報を統合し、高精細な画像を生成する。この時、②素子間隔の広さを補間するために圧縮センシングを適用しイメージングを行う。これにより、素子間隔の狭いアレイプローブを仮想的に得ることができ、高精細でグレーティングローブが抑制された画像が得られる。さらに、③深層学習をベースにプローブの形状、イメージング対象とそのエコー情報を既知の教師データとして学習させることで、プローブ形状の推定から画像化までを一挙に行いグレーティングローブのない画像を生成する。 最終年度においては、素子間隔の広く素子数の少ないアレイセンサを用いた時の画像劣化を、圧縮センシングを用いることで解像度向上を図ったが、目標達成には至らなかった。一方で、フレキシブルなアレイプローブの製作に成功した。当初は素子間隔の広さを信号処理で補完する予定であったが、アレイプローブの素子を緻密に配列することが可能となり、その必要性が下がった。そのため、信号処理はプローブの形状を推定するのみでよくなり、リアルタイム性が確保できることとなった。製作したプローブのひとつは、PZT層の厚みは約0.1mm、素子数64、幅0.75mm、隙間0.25mm、ピッチ1mm、高さ3mmとした。d33は約40pC/N、中心周波数約4MHz、周波数帯域幅約4MHzとなった。基礎的な生体実験を行い、深度4cm程度の可視化ができた。複数の形状のセンサを作成し、最小のピッチは0.5mmとなった。今後、このセンサを適用可能なニーズを調べた上で、実証実験を実施する予定である。
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