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2020 年度 実施状況報告書

少数サンプルに対応した深層学習を用いた網膜症病変の自動検出処理の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K12827
研究機関大分大学

研究代表者

畑中 裕司  大分大学, 理工学部, 教授 (00353277)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードCramer-GAN / CNN / 網膜症 / 眼底 / データオーギュメンテーション
研究実績の概要

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて、眼底画像から網膜症病変を自動検出する手法の開発に取り組んでいる。本課題では、CNNの教師データとなる大量の病変画像を用意できないことを前提として、敵対的生成ネットワークを用いたイメージデータオーギュメンテーションの研究に取り組んでいる。前年度にCramer-GAN(以下、GANとする)の可能性が示唆されたため、本年度は硬性白斑の人工的な画像生成を対象として詳細に検討した。GANのGeneratorの各層に乱数を付与すると共に、各層に任意の係数を乗算することによって、より多様性のある画像群を生成できるようにした。13種類のHaralik特徴によるt-SNEを用いて実画像とGANの分布を比較したとき、両者が類似することを確認した。このことは、GANが片寄りなく多様な画像を生成できることを意味する。
また、GAN以外のデータオーギュメンテーション法である画像の回転処理とGANを組み合わせて、CNNの学習への寄与についても実験検証を行った。本年度は、GANと回転処理による生成画像の割合を1:1とし、本物の硬性白斑画像の枚数を10倍にしてCNNに学習に適用した。硬性白斑画像3,000枚を30,000枚に拡張して、正常画像30,000を加えて学習したCNNを用いて、各6,000枚の正常画像と硬性白斑画像に対する評価実験を行った。比較対象として、生成画像なしで学習させたCNNも用意した。生成画像有りのCNNのAccuracyが0.88、生成画像なしのCNNが0.84であったことより、生成画像の有用性を確認できた。眼底画像において、硬性白斑は白い塊となることから、GANは放射線画像における癌病変のデータオーギュメンテーションなどへの摘要も可能であると考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画していたデータオーギュメンテーションについては、Cramer-GANによる網膜症病変の画像生成に有用であり、計画よりも半年早く研究が進んでいる進行している。また、位置情報を考慮した深層学習処理の網膜血管への摘要を計画していたが、調査研究の結果、計算負荷の割には検出性能が高くならないことが分かった。一方で、前年度に検討し始めた蛍光眼底画像上の網膜血管を深層学習で検出することを考えた場合、学習に十分な教師データの枚数を集められないことが分かったが、非造影の眼底画像をこの学習に利用できることが本年度中にわかった。病変検出と血管検出の2つの研究課題の進行状況を合わせて考え、概ね順調に進展していると自己評価する。

今後の研究の推進方策

データオーギュメンテーションについては研究成果をまとめて、学会等で成果発表する。
血管検出については、蛍光眼底画像を一般的なFOVが50度の画像だけではなく、世界的に研究が進んでいないFOVが200度以上の広角眼底画像への摘要も検討する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの影響により、計画していた国際会議に参加できなくなったり、学会のオンライン開催によって、旅費に差が生じた。
次年度もオンライン開催が予想される学会での発表や、学術雑誌への論文投稿を行うなど、研究成果の積極的な情報公開を行う。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] AI画像診断が医療現場を変える:4.眼底写真(光学系)の診断支援 -眼底AIの開発状況と期待-2021

    • 著者名/発表者名
      畑中裕司
    • 雑誌名

      情報処理

      巻: 62 ページ: e19 - e24

    • DOI

      10.20729/00208917

  • [学会発表] Generative Adversarial Networks to Increase the Convolutional Neural Network Performance2021

    • 著者名/発表者名
      Maho Fujita, Yuji Hatanaka, Wataru Sunayama, Chisako Muramatsu, Hiroshi Fujita
    • 学会等名
      International Forum on Media Imaging in Asia in the year of 2021
    • 国際学会
  • [学会発表] AI、深層学習はこれからの糖尿病外来診療にどう影響してくる?2021

    • 著者名/発表者名
      畑中裕司
    • 学会等名
      第58日本糖尿病学会関東甲信越地方会
    • 招待講演
  • [学会発表] 眼科治療のための蛍光眼底画像レジストレーションの初期検討2021

    • 著者名/発表者名
      脇谷知樹,畑中裕司,慶野博,砂山渡
    • 学会等名
      医用画像情報学会 令和2年度春季(第189回)大会
  • [学会発表] 敵対的生成ネットワークを用いて生成した硬性白斑画像についての検討2020

    • 著者名/発表者名
      藤田真穂,畑中裕司,砂山渡,村松千左子,藤田広志
    • 学会等名
      第39 回日本医用画像工学会大会
  • [図書] ディープラーニング研究におけるデータの種類と収集のポイント, 学ぶ! 究める! 医療AI  ディープラーニングの基礎から研究最前線まで2020

    • 著者名/発表者名
      畑中裕司
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      インナービジョン
    • ISBN
      9784902131857
  • [図書] 動かす、2020-2021年版_はじめての医用画像ディープラーニング2020

    • 著者名/発表者名
      畑中裕司
    • 総ページ数
      13
    • 出版者
      オーム社
    • ISBN
      9784274-22544-4
  • [図書] 眼底画像、2020-2021年版_はじめての医用画像ディープラーニング2020

    • 著者名/発表者名
      畑中裕司
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      オーム社
    • ISBN
      9784274-22544-4

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公開日: 2021-12-27  

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