研究課題/領域番号 |
19K12829
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
原田 顕治 自治医科大学, 医学部, 准教授 (10815012)
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研究分担者 |
星出 聡 自治医科大学, 医学部, 教授 (90326851)
苅尾 七臣 自治医科大学, 医学部, 教授 (60285773)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 起立性血圧異常 / 高齢者心不全 / フレイル / 認知機能 |
研究実績の概要 |
高齢化に伴い急激な増加が予想される心不全は、高血圧に伴う左室収縮力が保たれた心不全(HFpEF)の割合が多いとされ、新たな心血管イベント抑制に向けたターゲットである。しかしながらHFpEFのメカニズムは不明な点も多く、確立した治療法もない。さらに、心不全に高齢者特有の“フレイル(虚弱)”が加わることで予後や健康寿命の短縮につながるとされている。これまでに申請者らが着目してきた、日常生活の中で最も頻繁な動作である”起立”に伴う血圧変動の異常である起立性高血圧は、高齢者特有の血圧変動性の増大を反映する。この起立性高血圧は交感神経亢進や後負荷増大にもたらされるものであり、その要因はHFpEF発症と関連がある可能性がある。本研究課題は心不全の予後を悪化させる要因としてフレイルに加え、起立性高血圧の関与を解明することである。 当院を受診された未治療または治療中の高血圧のリスクを有する65歳以上の高齢者を対象に、新しいリスクファクタとしての「起立性血圧変動異常」を評価し、フレイルや心エコーで評価した心機能との関わりや、予後を推定する研究である。患者背景、血液検査 (BNPなどのバイオマーカーを含む)やフレイルの評価を行っている。また、臥位から起立後3分での血圧の変動を評価し、「起立性高血圧」「起立性正常高血圧」「起立性低血圧」群に分類している。さらに通常の 臥位での心エコー検査におけるパラメータに加え、起立時負荷時における検査も追加し、心機能や血行動態の変化も併せて評価している。さらに2D speckle tracking法によるストレイン指標を用いた特殊な心機能解析も追加している。Covid-19蔓延下、負荷心エコーという検査時間が長くなる検査上の性質も影響し研究のエントリー状況は思わしくない。対象をHFpEF心不全入院患者に変更し研究実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Covid-19の感染拡大により、現在日米の心エコー図学会からも声明やガイドラインが出されているように、不要不急の心エコー検査の中止、延期が薦められている。さらに負荷心エコーは回避が望まれている。当初の主としての対象としていた外来患者は感染の状態の担保ができていないのが現状である。検査の性質上、外来超音波検査室での長時間の負荷テストは、「密閉」、「密集」、「密接」の状況を生じ感染リスクが高くなる危険性を有する。病院のルール的にも外来患者を対象にした研究の継続は困難と判断し、滞っているのが現状である。現在次項のごとく入院患者を対象に研究を実施している。
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今後の研究の推進方策 |
Covid-19感染拡大に伴う社会的状況により研究遅延、目標症例数の減少はやむを得ない。現在研究対象を心不全入院患者に変更し実施している。患者・スタッフの安全の確保、当病院の方針を踏まえ、研究を継続していく。一年後のフォローアップについては外来での再検査は困難と判断し、一年以内の再入院をアウトカムに変更する方針である。100例程度を目標にエントリーしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今回の該当年度は研究の進捗の遅滞があり費用が生じないため繰り越しさせていただいた。次年度は、入院患者をメインとして症例登録に必要な検査消耗品やデータ管理用の事務用品の購入を予定している。
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